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2011/12/5
最終回。感想とこれからと
運用会社日本株トレーダー 鰊


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  東京IPOコラム〜コーヒーブレーク
「いちごアセット・マネジメント スコット・キャロン氏へのインタビュー」


東京IPOスタッフ CFA協会認定証券アナリスト 深井浩史
  09年5月13日
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運用会社の代表と投資先事業会社の代表という二足の草鞋をはく、お馴染みのスコット・キャロンさんに、そのアセット・マネジャーズ・ホールディングスに対する投資に関する背景や考え方を伺いました。インタビューは昨年12月24日に行いました。スコットさんの同社の代表執行役就任は10月、取締役就任は11月、インタビューから日数が経っての掲載で恐縮ですが、ここでご紹介させていただきます。(東京IPO深井浩史)

深井: 少し時間が経ちましたが、アセットマネジャーズ・ホールディングス(大証ヘラクレス市場2337)の取締役代表執行役の就任、おめでとうございます。
キャロン: ありがとうございます。でも、むしろ「お疲れ様です」かな。
   
深井: 11月にいちごアセットの主要な投資先であるアセットマネジャーズ・ホールディングス(以下AM)の株主総会で承認されて、同社の取締役代表者執行役に就任されました。総会でのご説明では、自らAMが融資を受けている金融機関を回り、事業計画等の説明をして、協力を要請しているとのことでした。スコットさんは、受託者の資金を預り運用するプロの運用者として、投資先の事業会社の代表者となって、経営に直接参加することには何か問題はないのでしょうか?利害相反はありませんか?また、なぜそこまで同社の経営に関与するのでしょうか?
キャロン: AMには投資する価値があると信じてこれまでも投資してきました。AM株式の保有比率も大きくなりました。残念ながら金融危機の影響もあり、投資物件の価格が暴落、不動産業界全体への資金繰り懸念から、AMの株価も大きく下がりました。AM従業員の皆様と共に同社の将来的な企業価値を高め、AMの株主の皆様の今までのご期待に添うことが最重要課題であるため、さらに深くコミットすることにしました。また同社において、本当の株主重視の経営を実践したいと考えています。

AMには、他の不動産運用の会社にない強みがあり、社会的に存在価値がある。それに比較して現在の株価、時価総額は圧倒的に低すぎると思います。ですから、しっかり経営し、この状況を乗り切れば投資としてのリターンも必ず得られるという強い確信もあります。AMへの経営参加は、あくまで投資先企業のバリューアップのために参加させていただいているのであり、私自身は無報酬です。
   
深井: 総会で個人投資家からのいちごアセットは短期で売却するのか?という質問に対して「ずっと売らないで保有します」、と回答していました。しかしファンドを組成して投資家の資金で投資している以上、それは難しいのではないですか?
キャロン: いちごアセットグループの投資信託は長期保有が大前提であり、顧客である財団及び基金の投資家も長期投資を望んでいます。両者の投資方針が長期保有なのですから、短期での売却は考えられないのです。また解約に伴うロックアップ期間も設けてあります。
   
深井: なるほど。現在のAMに対する投資スタイルをどういうものだと位置づけますか?
キャロン: 今までと同様、投資先企業と対話しながら、ある程度大きな保有比率を維持する投資スタイルの一環であると考えています。
   
深井: 先日のAM株主総会の運営、スコットさんの言動は非常に株主重視の姿勢が感じられました。
キャロン: 2008年11月に開催されたAMの株主総会では代表執行役会長として議長を務めさせていただきました。年に一度しかない株主のための重要な総会ですし、皆様の率直な意見をお伺いできる貴重な機会です。大変な重責でしたが、株主の方々がご満足いただける結果となったのでしたら嬉しいのですが。

また、私は投資家として、いちごアセットグループの投資先企業の株主総会にはすべて出席するようにしています。もちろん経営者の方々の日頃の経営努力への敬意の念から参加させていただいています。
   
深井: いちごAMとして増資に応じて、さらに直接経営に参画されること、そして株主総会でのスコットさんの言動。これでAMの株主、特に株主総会に参加した個人投資家には大きな安心感、期待感、それにある意味、癒しのようなものを与えたと感じます。AMの経営陣に期待する以上に、スコットさん個人を信頼してAMの株主として留まる、という個人投資家も少なからず存在するように思います。それだけに責任が重いようにも感じます。
キャロン: 確かに経営者が好きだから投資する、という人もいるでしょう。しかし、基本は株主の出したお金に対して適正なリターンをお返しする、経済的な利益をお返しする。これが将来必要となる大切な資金を託していただいている上場企業の責任であると考えています。他人のお金をお預かりするプロの運用者であっても、上場会社の経営者であっても、これは同じです。投資家も投資先を判断するには、この経営者はきちんとリターンを出してくれるかどうか、という投資基準は非常に重要です。AMの株主の皆様へのメッセージも、きちんとリターンを出しますということです。株価がかつての株価水準まで戻るのにどのくらいの期間を要するのかは、AM単体の経営のみならず、市場の回復が重要なファクターとなりますが、最後まで全力を尽くしていく覚悟です。AMには潤沢な資本があります。今は非常時で資金的に内部留保が重要ですが、環境が落ち着けば、今後の事業計画に比較して必要以上の資本を持っていますので、株主還元の実施は常に視野に入れて経営を行っております。
   
深井: 今年はアメリカ発の金融危機で、投資銀行の収益モデル、短期業績に連動する高額報酬の経営者などへの批判が強まりました。日本では、ブームに乗ってハイリスク投資商品で損失を被った個人投資家、きちんとした運用体制のないセミプロ的機関投資家(大学、中小企業年金)、それらに対してハイリスク商品を売る、あるいは、不適切取引を勧める投資銀行などが問題となりました。世界的に金融関連の従事する人も激減し、産業自体が冷え込んだ感じもあります。広く金融ビジネス全体を見て、どう変わっていくべきか?という点で何かございませんか。
キャロン: 原点に戻る事が大切だと思います。運用に限って言えば、資産の実勢価格を冷静に分析し、周囲の雰囲気に惑わされる事なく、地道に分析し投資を行うことが重要だと考えています。そして、継続的に成長する事が可能な、真に価値のある企業に対して、長期的投資を行うのです。金融市場には非常に多くの投資方法が存在しますが、このバリュー投資の有効性は誰もが知るところでしょう。
   
深井: 今年は個人投資家も、プロの投資家も、相当にストレスの大きい1年でした。個人投資家は本来の仕事や家族があり、それ以外に投資をしています。中には相当に投資にエネルギーを注いで、疲れている人もいます。プロの投資家であれば、それが本業で当然ながら毎日投資のことが生活の中心です。こんな環境の時は、精神的バランスを保つために、何か必要なこともあるかと思います。プロの投資家としての考え、それに個人投資家へのアドバイス的に何かあればお願いします。
キャロン: 私自身は、バランス感覚を大切にしています。人生においても投資においてもバランス感覚を重視し、常にある一定期間をおき、できるだけ客観的な分析をするよう心がけています。投資においては、分散投資と将来の人生設計に合わせた長期投資が重要だと考えています。
   
深井: 2009年の株式市場はどうなりますか?
キャロン: 現在の株式市場は既に景気悪化を相当織り込んでいると思います。それにしても適正な企業価値を超えて下がり過ぎていると思います。外国人、ヘッジファンドなどの換金売りによる需給バランスの悪化の影響と見ています。最近はようやく戻りつつありますが、本来はPBR1倍以上はあるべきであり、多くの日本企業が割安であると考えます。
   
スコットさんの代表執行役としての活躍もあって、何とか最悪の危険水域は脱した感のあるアセット・マネジャーズホールディングス。しかし、まだまだ先行き予断を許しません。一方で、この時期を乗り越えた不動産運用会社には、将来的に大きなチャンスもあるかもしれません。今後に注目です。

コーヒーブレークのブログ書いています。 http://ameblo.jp/mplstwins/
東京IPOスタッフ CFA協会認定証券アナリスト 深井浩史


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