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2011/12/5
最終回。感想とこれからと
運用会社日本株トレーダー 鰊


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  官民ファンドとREIT

某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
  09年8月3日
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皆さん、こんばんわ鰊です。

夏はあまり好きではないのですが(日本酒が美味しくないので)、何とか夏バテとは無縁の日々を過ごしております。とはいえ、高校生のように「夏こそ野球の季節!」といったテンションで草野球には取り組めず、家にいることが多いような。まあ、不況の影響も多々ありますが。

それはそうと、政府からの出資をメインとして民間企業に資金を貸し付ける、2つの官民ファンドの方向性がほぼ固まりました。

1つ目は産業革新機構。

資金規模一兆円で、先端技術の事業化や業績悪化に陥った企業同士の合併を目的としたファンドです。

正直よく分らないというか、潰れては困る企業に対する合併資金と大企業が途中で投げ出したい研究の肩代わりじゃないの?とかついつい穿った見方をしたくもなります。

というのも、貸付先が上場企業であってもメガバンクは簡単に倒産へのトリガーを引くようになったし、また製造業は周囲への影響よりも自分の都合を考えてラインを止めるようになった現在では、前回の産業再生機構のような存在はあまり求められてはいないような。

あと、農中出身であおぞら銀行をどうにも出来なかった能見氏が社長になったところで、先端技術の事業化とか判断できるのか?というのも気になるところ。
無責任な批判であるのは重々承知ですが、スタートから不安要素が沢山だとつい疑問を呈したくなるもの。

政権交代があっても機能してくれるのかも、明らかにしてほしいところです。

もっとも、今日のテーマはもう一つの官民ファンドである不動産市場安定化ファンド。
一言で表せばREITのリファイナンスのためだけに作られたファンド。

記憶では定かではないほど前からこのファンドについては検討されており、当初は格付AAクラス以上を対象とするふざけた話が出ていて「大手不動産主導の大手不動産のためファンド」と揶揄された時期もありました。

この話自体、非常にふわふわした感じで影が濃くなったり薄くなったりしておりましたが、遂に具体的な方向性が明らかになりました。

まず、基本的に投資法人債のリファイナンスに対応するものであること。
これを明示できたことは非常に大きなメリットです。

良くも悪くも直接金融の波に乗って投資法人債を発行したものの元本の償還原資をほとんど持たないREITにとっては、償還期限が来た投資法人債の元本は別の投資法人債の発行によって賄うしかありません。

しかし、相次ぐ格付会社の格下げにより債券投資家は既に怒り心頭。
新たな投資法人債を発行できるのは本当にわずかな一部の上位REITだけでしょう。

今はわずかなローンのリファイナンスでさえもスムースにいかない御時世。
銀行が何十億もの新規融資を実行してくれる可能性はかなり低いはず。

そんな中、よくぞ言ってくれた。

しかも今年の想定融資額500億円は、今年末までにREITで予定されている投資法人債の償還額700億円弱を考えると十分に心強い。

日本ビルファンドの100億円は恐らく自力で何とかしてくれるでしょう。
NBFがどうにもならないというなら、他のREITが自分で何とかできる可能性ははっきり言ってゼロです。

もちろん官民ファンドからすれば、絶対安心のNBFに融資して実績を積みたいという考えもあるかもしれませんが、そこは当初の目的を見失わないで欲しい。

NBFにスプレッド3%で貸しつけることができれば、それはそれで収益も追及しなければならない官民ファンドの面目躍如ですが、ある意味モラルハザードに近いです。

全REITのローンのリファイナンスはこれからも控えており、当然の如く官民ファンドの金利がベンチマークになるでしょう。

あおぞら銀行がプロスペクトに実行したスプレッド6%が市場に与えたインパクトはまだまだ市場関係者は忘れていません。

それに官民ファンドは原則として有担保です。NBFはローンを無担保で借りている以上、 投資法人債のために担保設定するかといえば、何としても避けたいでしょう。

ちなみに、もしNBFが有担保で官民ファンドから借りるとすれば、一時的にはマーケットはショックを受けるでしょう。そうなると今年最後の買い場です(笑)

あと、JPRがどうするか、こちらはやや苦戦気味らしいので微妙。

官民ファンドの手法としては金融機関にシニアローンを出す以上、投資法人債償還額の何割かを既存レンダーに肩代わりしてもらってその残りを出す、というケチな手法は取らないと思うのですが、REITはどこも官民ファンドに融資してもらえるか、金利はどうするかで悩みの日々を過ごしていると思われます。

使わないに越したことはありませんが、やむを得ない事情の場合にはM&A等の資金もOKとのこと。

全ファンドを対象とするのか、線を引くのか、それだけが心配です。

第一印象は良かったのですが、考えれば考えるほど心配の種だけが増えてしまってます…

それでは、いつになるか分りませんが続きで。

某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
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