TOKYO IPO スマホ版はこちら
TOKYO IPOTOKYO IPOは新規上場企業の情報を個人投資家に提供します。

2011/12/5
最終回。感想とこれからと
運用会社日本株トレーダー 鰊


IPO最新情報や西堀編集長のIPOレポート、FXストラテジストによる連載コラム、コモディティウィークリーレポートなど、今話題の様々な金融商品をタイムリーにご紹介するほか、資産運用フェア、IRセミナーのご案内など情報満載でお届けしています。

メールマガジン登録無料


開示速報検索サービス 登録無料!

  「資産運用の目的と長期投資、分散投資との矛盾(2)」

某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
  2010年3月1日
【PR】
【PR】
【PR】
寒かったり暖かかったり、まさに三寒四温(昨年も書いた気がします…)。
みなさま如何お過ごしでしょうか?鰊です。

週末が寒くなかったら大掃除するかと思ってましたがまたも延期に。きっと来週こそ昨年の埃を一掃できることでしょう。

さて、運用の目的を考えるシリーズ第2回。

資産運用のベースは長期投資とか分散投資とか言われてますが、なかなか資金が増えないこの現状。

日経平均だけで運用していた場合、1984年の始値9927.11円から現在のまでのリターンは、ほぼゼロ。1980年代前半、個人レベルでは海外資産への投資がそれほど一般的ではなかったことを考えると、虎の子を運用した実際のリターンがゼロだったとしても驚きではありません。もし手数料が1%なら26年間の間に運用資産の26%を支払うわけで、資産は3/4となります。この数字が悪いところだけ抜き出したものである、ということはなく、むしろ逆です。

1985年から2002年までの始値は10000円以上なので、どのような形の投資であれ累積リターンはマイナスです。

バブルの最高値で定年となり保有資産を全てキャッシュ化した方もいらっしゃいますし、
過去26年間の始値のほとんどが10000円以上ということは、逆にいえば今まで投資した分は全て含み益だったわけで必ずしもネガティブに考える必要はないと思います。

とはいえ、この10000円という水準が買いの時期なのかどうかは時間が経たないと分りませんが、日本を将来を明るくする材料が限られている現在、ロジカルに買いの理由を説明できる方はさわかみ投信の澤上氏くらいではないでしょうか?

冴えないヒストリカルデータ、見通しの立たない将来像を見せられてこれから先の運用に悩むのは当然のことです。

じゃあ、どうするのか?

資産運用の面白いところは価格変動だけがリターンの源泉ではないところです。
といっても大した話ではなく、価格変動から獲得するキャピタルリターンと対を成す概念であるインカムリターンについて考えてみようというわけです。

言うまでもなくインカムリターンとは配当等から獲得するリターンです。
株式からの配当もありますし、社債や国債の利子、銀行の利息、FXのスワップもインカムリターンです。REITの配当もインカムリターンです。配当額が予め決まっているかどうかの違いはあれど、経済の主体がキャッシュを支払うことで獲得されるリターンはインカムリターンとして分類されます。

そして、資産運用ではキャピタルリターン=高リスク高リターン、インカムリターン=低リスク低リターンと分類し、長期投資の目標は主にキャピタルリターンのリスクを如何に低減しつつ、高リターンを狙うかに重きが置かれております。

しかし、キャピタルリターンとインカムリターンの関係は意外に奥が深いです。
極端な話、キャピタルリターンもインカムリターンもその源泉は会社が生み出す利益です。
利益をそのまま配当すれば、それは投資家にとってインカムリターンです。

利益を配当せずに、会社が既存ビジネスの拡大や新規ビジネスに注ぎ込んで株式市場で評価されればキャピタルリターンとなります。厳密にはその会社の成長性や市場での相対評価によってキャピタルリターンが生まれるかどうかが決まります。

社債の場合、投資家に見えているのは企業がその金利でお金を調達して、利子の支払及び社債の元本償還を行うことですが、本質的には社債によって調達した資金をビジネスに回して、利子の支払、元本の償還に加えて利益を創出し、株主に何らかの形で還元することが目的となります。

東証だけ見ていると、社債といえば償還期日到来による借り換えニーズが多く、純粋に社債を償還する場合は公募増資等の株式市場からの資金調達が裏にあるケースがほとんどですが、借り換えをしない形で(元本償還を行えるだけの期限を確保して)社債を発行するのが理想的な姿です。

銀行の融資は資金使途及び返済原資についてこれでもかというほどチェックしますが、同じ負債でもマーケットを経由する社債は有耶無耶になってしまうことが多い印象があります。

一時期、株式や社債といった直接金融が盛り上がりましたが、資金調達が多様化する一方、資金使途や返済原資について口うるさくない債権者は投資家にとって両刃の剣です。

例えば、成長性はないが借金を抱えている企業の場合、マーケットからの圧力が強いこともあり、借入金の利息と配当を支払うとほとんど何も残らないことが多いです。

これは現金を寝かしていても成長性のあるビジネスに投資できないので配当するべき、というファイナンス的には正しい行動ですが、電力やガスといったインフラ系以外の企業は歯車が狂うとあっという間に株価が急落していきます。負債がなければどうにかなりますが、負債を抱えていた場合は配当の減少と信用リスクの増大というスパイラルが待ってます。

当たり前のことをつらつらと述べて恐縮ですが、インカムリターンとキャピタルリターンについて説明させていただきました。

ここで認識がずれると次の国債の返済原資及び具体的なインカムリターンについて上手く説明できない恐れがありますので。

続きは次回、ですが原稿はほぼ出来上がっているので今回のように1ヶ月空くことはないと思います。。。

某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
メールはこちら ⇒ nishin-for-t-ipo@hotmail.co.jp


Copyright (c) 1999-2024Tokyo IPO. All rights Reserved.