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2011/12/5
最終回。感想とこれからと
運用会社日本株トレーダー 鰊


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  「資産運用の目的と長期投資、分散投資との矛盾(3)」

某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
  2010年3月29日
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さて、前回はやや暴走した感がありますが、要はインカムゲインにしろキャピタルゲインにしろ、その源泉をきっちり見極めることが大切ではないでしょうか、ということです。

ファイナンス系の参考書を読むと最初の方に書かれていることではありますが、企業が合理的に行動しようとすれば、現在のCFの現在価値である配当と将来に投資回収が期待できるCFを比較して、より大きい方を選択することになります。

裏を返せば、配当の多い企業も、将来的に株価上昇が期待できる企業も、その元となる原資は同じということです。

無用にキャッシュを貯めこんでいる会社が投資ファンドに狙われる「もっともな理由」は、キャッシュの額ではなく、不効率な資金の使い方です。成長性の高いビジネスに取り組むなり、配当するなりすべきだったキャッシュを投資ファンドが狙いにくるわけです。

まあ、これも難しい面も多々ありまして、新規ビジネスに取り組むからといって良く分からないビジネスを始められては困るし、安定したビジネスで稼いでいるなら、ある程度キャッシュを積んでいる企業の方が安心感があるのも事実です。

リスクを取って苦境に陥った会社はその責任を自分で取らなければならない。
安全策を取った結果、慎重になりすぎてしまった場合、後から来た投資家に文句を言われる。
難しいところですね。。。

では、話を資産運用に戻し、インカムゲインを目的として安定した高配当銘柄を長期保有することを考えてみたいと思います。

長期的な目標をもって資産運用に取り組む以上、自分の狙う配当が将来に渡って継続されるのか?
キャッシュ化するときに元本が目減りしていないのか?その2点は少なくとも自分が納得できる理由が必要です。

もし毎年5%の配当を得られ、配当を全て再投資したとき、元本が目減りしておらず、かつ、配当が安定していた場合の15年間のリターンはほぼ100%、資産は倍増します。

一方、再投資した分も含めて元本が徐々に切り下がってしまい、15年後に半値になっていればリターンは40%に留まります。もし、それが配当利回りを意識する会社の場合、株価が下がった分だけ配当額も減少するので、リターンはもっと低くなります。

明確な目標を持って資産運用を行う場合、この差は致命的となる可能性があります。
資産運用で難しいのは、この「定量的な点(目標金額)と定量的な点(将来のCFの確実性)をすり合わせること」になると思います。

個別銘柄で長期保有することを考えると、まず思い浮かぶのが規制産業銘柄。

安定配当銘柄として扱われる電力会社の配当原資をざっくり説明すると、収入源としてユーザーの電気使用料、そこからコスト、将来への投資、税金を差し引いた額となります。他にも沢山のビジネスを行っておりますが、規制産業であること(供給量、価格のコントロールが可能なこと等)が安定した配当原資であることは間違いありません。

東電のHP(http://www.tepco.co.jp/ir/management/haitou-j.html)によると直近の配当性向(利益の何割を配当しているか)は、30%〜50%。競合が皆無であり将来への投資を計画的に行えること、銀行からの信用力が高いことを考えれば、無理して配当しているレベルではなく、かといって貯めすぎでもなく、さすがという配当政策ではないでしょうか。

しかし、工場の海外進出、原油高の懸念、法人・個人問わず太陽光発電の増加傾向等、将来動向はちょっと心配です。配当利回りが3%だと元本を回収するのに25年かかるわけですが、果たして25年後の株価水準はどうなっているのか。

また、携帯電話も規制産業です。
Docomo、KDDI、ソフトバンク。マーケットはほぼ拡大しきっており、ここ数年はパイの取り合いが激しくなっております。電力やガスと異なり、いずれも全国展開しているため、規制産業とはいえ安定感にはやや劣ります。

但し、インフラ産業ですからいきなりマーケットが消えてなくなることはありません。むしろ固定通信の代替と考えれば縮小するイメージは持ちにくいです。もし、携帯電話業界は大丈夫と思うが、どのキャリアが生き残るのか分からないなら、3社とも保有すれば良いだけの話です(KDDIの株価がやや高いのがネックですが)。

Docomo、KDDIの配当利回りはざっくり2.5%なので元本回収には30年弱。株式市場の中では相対的に魅力的ですが、老後に必要な資金を作るという意味ではどうでしょう。

規制産業以外の長期保有はどうなのか?電力会社の配当利回り3%って長期保有に向いているのか?という点は次回となります。新興国の国債にも触れなければなりませんし、あと数回は続きます。

某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
メールはこちら ⇒ nishin-for-t-ipo@hotmail.co.jp


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