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「ARESのJ-REITセミナーと業界の今後」
某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん) |
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2010年10月4日 |
皆さん、こんばんは。鰊です。
夏休みシーズンが終わり、後は年末までもう一頑張りといったところでしょうか。
日本の株式市場は少しだけ持ち直しておりますが、非常に不安定は地合。
ましてや数年前の水準を考えるととても諸手を挙げて喜ぶ気にはなれません。
ディフェンシブ株の代表であった東京電力でさえ、ここ数年は原油乱高下に加えて、先日の大規模増資。年間数%の配当と引き換えるには大き過ぎる動きです。
そんななか、9月11日に不動産証券化協会(ARES)が個人投資家向けにJ-REITセミナーを開催しました。日本初のREITであるNBFとJREが上場したのが2001年9月10日ですから、奇しくも生誕9周年といったところです。
ちなみにこのARESがJ-REITの業界団体。役所に法改正を働き掛けたりする他、証券アナリスト協会と同様の資格試験や(証券関連に加えて不動産の細かい知識が問われます。)J-REITのデータやインデックスを公開しております。
J-REITの認知度を高めるためにHPの無料コンテンツも多いのですが、大手デベロッパーのお偉いさんが仕切っているせいか、真面目な内容であり、興味ある方にとっては有用性の高いものの、なかなか新しい投資家を呼び込めていないのが実情です。
そんなARESが毎春に開催していた個人投資家向けフェアを秋にも開催したのが今回のもの。決算発表を間近に迎えて、おいそれと口を滑らすことができないいくつかのREITを除けば、ほぼ全てのREITがブースでの資料配布やセミナールームでのプレゼンに参加しました。
J-REIT以外では個人投資家向けにファンドを販売している東京建物と住友不動産のみ。
かなり端っこに追いやられておりましたが…
なお、今回は昼飯付き。ドリンクはドトールのコーヒー、ジュース、紅茶のいずれか。
それにサンドウィッチとピザパン。おそらく費用は500円弱といったところ。
今まではホテルや国際フォーラムでしたが、東京証券取引所で開催して会場費用が浮いた分を回したのでしょうか。
私も昼飯時に参加したのですが、200人分の席がほぼ埋まる状態でかなり大盛況。
まさに入れ替わり立ち替わり。
ただ、特徴的だったのが90%が単身での参加のようで(私も単身でしたが)200人が集まっている割には非常に静か。皆さん黙々とご飯を食べておりました。TOEICの試験会場でも開始前はもうちょっと騒がしいのではないかと。
もちろん投資の最終的な意思決定は各人が行うものですし、みんなでわいわいがやがや考える必要はどこにもありません。ただ、投資家層が広がらないJ-REITの特徴が出ているなあと痛感した一瞬でした。J=REITのことを周囲に薦めたり、話題に上ることもないのだろうなあと。
ご年配の方なんかも、ひょっとしたら昔は仲間もいたのかもしれませんが、ここ数年の大幅下落で話題にすることもタブーになってたりするのかなあ、なんて考えたり。
上場以来、J-REITの特徴は不動産賃貸収入をベースとした安定的な業績だったのに、大きく振れてしまったのは事実。この水準からは大崩れはほとんど考えにくいと各REITが主張しても、信じてもらえる日は遠そうです。
さて、肝心の各ブースは、機関投資家向けにはほとんど配布されないアメニティが山ほど並んでおりました。まだ作っていたのかと正直驚いてしまうほど、最近は見かけないものです。
JREの団扇(当日のプレゼン参加者には粗品進呈。粗品は不明です)、トップリートのシャーボ、MIDリートのあぶら取り紙、クレッシェンドのクリアファイル等々。福岡REITは「ツイッター始めました」と宣伝していたり、ジャパン・ホテル・アンド・リゾートはアロハ(沖縄のリゾートホテルを保有しているので)でプレゼンしていたり。
こうやって書くと大手どころはほとんど何もやってないですね…
一方、共通していたのは、資産運用報告書とか各J-REITの特徴をまとめたパンフレット。
足を止めた人はREITの資産運用会社の人と直々に質疑応答したり。
ただ、私も個人投資家のふりして色々質問してみましたが、しっかり回答してくれるところとそうでないところの差が大きかった気がします。
REITの場合は物件取得、物件運営、ファンド運営と役回りが縦割りのため、自分の所管以外は詳細に回答できない場合もありますが、ちょっとダメだろうと言いたくなることもしばしば。
三井不動産系REITはさすがの対応でしたし、大手以外のREITでは財務部長や社長がブースに座っていて、こっちがびっくりしてしまったり、「社長でもそこまで明確に教えてくれないよ」みたいなことも。
ただ、総じて地味だったのは否めません。
華々しければ良いというものではないと思いますが、J-REIT業界が個人向けに何をアピールすればいいのか分からないという状況なのは事実です。
単にブームになってもしょうがないし、根強いファンを捕まえるために何が必要なのか。
改めて考えさせられた一日でした。
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某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
メールはこちら ⇒ nishin-for-t-ipo@hotmail.co.jp
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