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2011/12/5
最終回。感想とこれからと
運用会社日本株トレーダー 鰊


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  J-REITの公募増資

運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
  2011年3月7日
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皆さん、こんばんは。鰊です。

いよいよ花粉症の季節ですね。今年は職場に空気清浄機を持ち込むつもりです。
でっかいやつ。前もって運び込もうと思っていたのですが、追い込まれないと動かない性分は治らないようで。

さて、J-REITは年初から公募増資が続いております。

日本ビルファンド、ジャパンエクセレント、福岡リート、日本アコモデーションファンド、産業ファンドと続き、ユナイテッド・アーバンの調達見込額は650億円と史上2番目の規模となりました。

いずれも増資発表後に株価が大きく下がることはなく、増資後も底堅い動きをしております。

今後も、一巡するまでは月2回くらいのペースで公募増資が続くと思います。
日銀によるバックアップを最大限活用するには今しかありません。

ところで、J-REITは35銘柄しかないのにこのペースが続くと1年半以内に全銘柄が公募増資をしそうな勢いです。株主の価値に問題はないのでしょうか?

そのような質問をたまにブログでも頂戴します。

結論から言ってしまうと、J-REITの公募増資は一般事業会社の公募増資と異なる性質を持っております。

一般事業会社の場合、公募増資の目的は新規ビジネスや借入金の返済であり、それなりの規模の希薄化を伴うことが多々あります。

過去の内部留保では足りない金額が必要な経営判断なので、色んな意味でインパクトが大きく、資金調達をしてから利益を生み出すための施策に取り組むので、希薄化を取り戻す利益が計上されるまで時間が必要です。

「そんな企業に投資したつもりはない」と思っても、増資後は株価が下がっており、売るに売れません。株式のリスクには「会社が変わること」までも含まれていると言えます。

一方、J-REITの公募増資の場合、基本的に希薄化はほとんどありません。
数字だけ見ると多少は変動しておりますが、中長期的な目線から考えると一定のレンジに収まります。

なぜなら、J-REITは中長期的に配当金を維持するために増資することが商品設計に組み入れられているからです。公募増資はリスクを取るためではなく、巡航ベースで成長するために必要な資金調達なのです。内部留保を新規ビジネスの資金に出来る一般事業会社とはここが異なります。

J-REITは内部留保を蓄えられない(=利益はほとんど配当に回す)ので、将来のストレス耐性を強くするには、借入比率を大きく変えることなく、保有物件と同程度の利回りの物件を買うことで、ポートフォリオの質を維持しつつ、リスク分散を図るしかないわけです。

公募増資と物件取得を同時に行うこともあれば、借入金だけで物件を取得して一時的に借入比率を上げて、公募増資により調達した資金により借入金を返済するケースもありますが、基本的な考え方はどのJ-REITも同じです。

よって、J-REITだけは公募増資=希薄化ではありません。

と、さらっと書いてしまいましたが、実はそのような外部資金頼りの商品設計はとても危うさを抱えております。株価が低い、具体的には一口当たりの資産額が株価を大きく下回ると何も出来なくなってしまうのです。

公募増資しようにも、配当利回りが8%だとかなり利回りの高い物件を探さなくてはいけませんが、そもそもそんな高利回りでJ-REITが保有できるような質の高い物件はありません。

公募増資により、株価に比して低い利回り物件を取得すると希薄化が生じますが、それはJ-REITのあるべき姿ではありませんし、増資で調達資金により借入金を返済するのは論外です。

2008年から2010年前半までJ-REITが暗黒の時代だったのは、そのような背景もあります。

希薄化に目を瞑る選択肢もあり、資金繰りに困ったいくつかのJ-REITはそのような公募増資や第三者割当増資に踏み切りましたが、結果としてこの相場の上昇局面でも株価が十分に上がらず、「あるべき」公募増資に踏み切れないという代償を払わされております。

逆にいえば、いま公募増資が出来るJ-REITはそれなりにしっかりしたJ-REITという解釈もできます。

何にせよ、慌ただしく公募増資が続いているのは、久方ぶりの資産規模拡大のチャンスを活用したいからです。1年も間を空けず公募増資するJ-REITもあるかもしれませんし、何もできないJ-REITもあるかもしれません。

公募増資の話をするときは不動産マーケットの話と表裏一体なのですが、この点はいずれ…。



某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
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