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東電が無配になると、資産運用が難しくなる?
運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん) |
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2011年6月6日 |
こんにちは。鰊です。もう夏ですね。
日比谷にフットサル場が出来たとかで、知り合いから声が掛かるのですが、ヒートアイランド現象のど真ん中でやるのもなあ…と悩み中です。
運動なんかしなくてもビールが旨い季節なのに。
さて、資産運用において利回りという概念はとても重要です。
利回りとは、その資産がどれだけリスクの大きい商品なのかを表す数字であり、一般的にはリスクフリーレートとリスクプレミアムを足した数字であると説明されます。
株式投資においては「企業が生み出す利益」を「利回り」で割ったものが、目標株価となり、割高か割安かを見極める重要な数字となります。
例えば、企業Aと企業Bの生み出す利益が同じだと見込まれる場合でも、通信会社のような成熟産業の企業AとIT関連会社のような技術革新の早い市場で稼ぐ企業Bでは用いるべき「利回り」が異なるため、目標株価も異なります。
企業Aと企業Bの株価が同じ場合、リスクプレミアムの低い(利回りの低い)企業Aの株価の方が割安だと判断されるわけです。
しかし、利回りは目標株価を算出するためのキモであるにも関わらず、絶対的な水準というものがありません。
先ほどの、通信会社とIT関連会社の比較が典型的な例ですが、まったく異なる業界の定性的な差を定量的に落とし込むなんてのは、100人いれば100の回答があっても不思議ではありませんし、「通信会社だって見方によっては成熟産業じゃないよ」という人もいるでしょう。
(そもそも利益の見通しが、という話はなしですし、同一セクターでしか利回り比較はせんだろうという実務上の細かい突っ込みは承知の上で)。
リスクフリーレートだって、便宜的には10年債の利回りが使われますが、それだって日々変動しますし、アカデミックには必ずしもリスクフリー=10年債ではありません。
ギリシャの例を挙げるまでもありません。
証券会社のアナリストの仕事の一つは目標株価を算出することですが、株価なんてものは1分たりとも同じ水準に留まっていません。
企業Aについてまったく新しい情報が出なくても(=企業をが生み出す利益の予想が変わらない)、株価は次々と変動していくのです(=利回りが変わっていく)。
何が真実の数字なのかなんてのは誰にも分りません。
にも関わらず、アナリストは「利回りはこんなもので、目標株価はこうなります」と公共の場で断言しなければならないわけです。
プロだから「利回りはこうです」と言い切ることが求められ、そして決め打ちすることが許される。
正直な話、どんなアナリストでも直近株価から±20%程度であれば、数字を作ることはできるでしょう。
口にしないまでも、目標株価を算出している彼ら自身も「大した意味はない」と思っているでしょうし、こちらもその程度にか参考にしません。お互い大変ですね。
ただ、そうは言っても、利回りというのは大事です。仕事でやってる以上、「なんとなくこんなもんだと思いました」では許されません。
「なんとなくこんなもん」を如何にしてそれらしく、論理的に説明するかが問われた上で、しっかり稼ぐことが求められるのです。
そのためには、「それらしい数字」が多いほど都合が良いわけです。世の中の大勢が納得できる数字、いわゆるマジックナンバーが。
私にとって、その一つが東京電力の配当利回りでした。独占企業で、その気になれば、電気料金を上げることで利益の額を自由に調整できる会社。
配当額が東京電力と同じであれば、制度上、産業構造上の違いを考慮した上で比較することは何の問題もありません。
特に、社会インフラとしてJ-REITと比較しやすかっただけに、今回の件はちょっと仕事に支障が出そうな感じです。 |
某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
メールはこちら ⇒ nishin-for-t-ipo@hotmail.co.jp |
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