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Tokyo IPO
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「ナスダック・ジャパン市場の終焉」
東京IPO編集長 西堀敬
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11月8日、ナスダック・ジャパン市場で、最後の銘柄となるアセット・マネジャーズ(NJ2337)が上場した。 公募価格の13.5万円の2倍となる27.1万円の初値を付け、引値も28万円と上場日は堅調に推移した。有終の美を飾ったアセット・マネジャーズには拍手を送りたい。

新興ベンチャー企業に、株式市場を通してリスクマネーを供給できる米国並みの仕組みができたのは3年前であったが、それは束の間の夢に終わってしまった。ナスダック・ジャパン市場は、12月16日から大阪証券取引所がニッポン・ニューマーケット「ヘラクレス」の名称で引き継ぐことが決定されている。とはいえ、ナスダック・ジャパンの目指した精神が引き継がれるかどうかは疑問である。また、グローバル性を備えた市場を目指すと言われているが、市場参加者は日本国内の証券会社に限られており、世界を目指す日本のベンチャー企業に、本当に魅力ある市場になるには相当の努力が大証に求められるであろう。

株式市場を使った資金調達は、マザーズおよびナスダック・ジャパンの登場で、一旦はそのハードルが低くなった。年末にかけて複数の銘柄がマザーズに上場することになっているが、ヘラクレス市場がまだ実績を出していない中で、果たしてマザーズのみにその機能が担えきれるかどうか心配である。

12月にマザーズ上場が予定されている4銘柄の前期決算の状況を見ると、1社が小額の黒字、3社は赤字である。 確かに、間接金融(銀行借入)の世界では資金調達できない企業群に、リスクマネーを提供する機能は果たしているように見える。その中でも際だっているのが、イー・アクセスである。87億円にものぼる累積損失を抱えてのIPOである。常識で考えると、日本の間接金融(銀行借入)の世界では、100億円を超す資金調達はまったく不可能な企業である。

イー・アクセスの財務内容は、金融監督庁が融資銀行に100%の償却を求められるであろう収益状況である。しかしながら、目論見書(P76)をよく読むと、担保があるとは言え、今年の6月に某銀行から100億円の融資を実行されているようである。私のうがった見方かもしれないが、調達額と借入額があまりにも一致しすぎている。

調達資金の使途については、目論見書に記載があるが、今後注目していきたいものである。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com