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Tokyo IPO
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「高配当利回り銘柄への投資(Post-IPO銘柄編)」
東京IPO編集長 西堀敬
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昨年末に証券税制の見直しが行われてから約1ヶ月が過ぎる。株式市場は予断を許さない状況ではあるが、変更後の税制メリットを受ける銘柄には徐々に変化が現れてきている。今回は、新聞や雑誌でも議論が盛んになってきている、高配当利回り銘柄への投資について考察してみた。

昨日の日経新聞で、「高配当株投信は『買い』か?」という記事があった。運用会社への手数料や信託報酬を考慮すると、配当のみの収益ではハイパフォーマンスは見込めそうもない。記者は、「高配当+キャピタルゲイン」の両方を狙える銘柄を選べるかどうかが、収益を左右すると締めくくっている。

上場銘柄の全てを対象に、予想配当利回りの高い銘柄一覧は、どこかの雑誌で紹介されていた。メディアは個別の銘柄を推奨するのが目的ではないので、どうしてもある程度の安全性を前提にスクリーニングされた銘柄を目にすることが多い。そうすると、東証1部上場で業績の安定した配当継続企業の名前が連なることになる。確かに、銀行預金や国債などの債券の利回りに比べれば、その魅力は非常に高いと言える。しかし、東京IPOの読者は、そのような銘柄では満足されない方が多いだろう。

筆者は、「高配当+キャピタルゲイン」を狙う場合に、既に上場して数年を経た上場企業よりも、最近上場した企業に注目したほうが、メリットが高くなる可能性があると考える。その理由は、新規上場企業は上場前に主幹事証券会社の審査が念入りに行われているからである。特に、上場した期の決算については、上場した企業が発表する業績予想通りの決算が、ほぼ確実にできることを前提に上場審査をパスしているはずである。つまり、非常に保守的な業績予想に加えて、配当政策に関しては、公約しているからこそ、上場できたと言っても過言ではないほど、最近の上場審査は厳しくなってきているのである。

昨年の7月以降に上場した企業の中から、3月までに決算を迎える予想配当利回りが3%以上の銘柄について、この2週間の値動きをチェックしてみた。
9銘柄が該当するが、いずれも株価は堅調で着実に買われている。

ひとつオマケであるが、配当利回りの議論をするときに、常に1年間の保有が前提で、利回りが計算されているのである。予想配当利回りが3%の企業が3月決算だとすると、2ヶ月ちょっとの保有で、配当を得ることが出来るのである。配当が実際に支払われるのは、6月末であるが、3月末まで保有すれば、配当を受け取ることができる。投資期間で利回りを計算すると、結果はいうまでもない。(暗算してみても驚く数字になる)また、キャピタルゲインの方は業績次第であるが、投資家の期待を裏切る事に抵抗が無くなった大企業や上場年数の長い企業と違って、上場後間もない企業の経営者は、業績予想はコミットメントであると捕らえている方が多いはずである。

昨年上場された企業の経営者の方々には、株式市場で信任を得る為にも、業績および配当で、有言実行を期待したい。

東京IPO編集長 西堀 敬 nishibori@tokyoipo.com