日本のデフレ経済は、中国をはじめとするアジア各国からの輸入に一因があるとされている。日本経済がグローバル化されたのは昨日今日のことではなく、日本は、まさにその中心に位置して世界経済の中で一人勝ちの成功を収めてきたのである。ところが、金融の世界に目を向けてみると、すでに、為替・株式市場は世界が一体となっているにもかかわらず、常に蚊帳の外に日本は置かれているような気がする。それは、日本人固有の問題であるような気もするが、インターネットにより、瞬時に情報が世界中を駆け巡る時代に言い逃れはできないのではないだろうか? 物理的な鎖国は100年以上前に終わり、貿易というゲームにおいて、日本は戦後勝ち続けてきたかもしれないが、情報が勝敗を左右する金融の世界では、常に欧米の後塵を拝してきたように思える。
今年に入って、日本の株式市場では、外人が買い越しているというデータが発表されている。確かに日本の株式市場は、かなりの水準まで値段を切り下げており、買戻しが入っても不思議ではない。それでは、年初からの海外の株式市場はどうだろうか?米国SP500、英国FT100、独DAXは、すべて、昨年末の水準を下回っている。特に、中東に近い欧州株式市場は、中東の政治的緊張がそのまま株価に反応している。筆者は、1990年代の湾岸戦争の時代に欧州に駐在していたが、欧州の人々が、まるで自分のことのように、中東情勢に注意を払っていたのを今でも覚えている。世界の政治の動きが金融市場に与える影響に対して、彼らは日本人以上に敏感であることを忘れるべきではない。世界の金融市場の動きは、当メルマガの読者であれば、インターネットを使って簡単に入手可能であるので、自ら確認願いたい。
日本は、日本固有の問題が解決に向かって一歩前進したことで、日本の株式市場は、いったんは、堅調に推移し始めたように見える。しかしながら、株式市場のグローバルな連鎖は避けられない。特に今回の事象は、世界的なポリティクスを伴うだけの大きな出来事である。海外の株式市場をよく観察すれば、日本の株式市場だけが特殊事情で動くとしても、その期間は限られたものになるような気がする。
筆者は、読者の不安を煽るようなことをするつもりはない。これからの時代は知恵の時代である。情報を武器にしてグローバルな視点で物事を考え、日本の株式市場での投資判断されることを期待したい。読者の皆さんは、日本の政治・経済だけでなく、海外の政治的な要因も念頭において、海外の株式市場の動向をウォッチしていただきたい。
ピンチの後にはチャンス有り。株式市場が大きく動き出す日は、近いのではないだろうか。
東京IPO編集長 西堀
敬 nishibori@tokyoipo.com
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