明日、時価総額5000億円を越す大型の銘柄が上場する。セイコーエプソンは、東証の上場基準見直し後、初の直前期赤字会社の一部上場となり、売上高が100億円以上で時価総額が1000億円以上見込める場合の特例に合致したわけだ。
東京IPOでは、IPO銘柄の初値騰落率の5銘柄移動平均チャートを作成している。このチャートを見ると、3月上旬に公募価格割れの状態になったが、今年は年初から総じて堅調に推移してきた。但し、6月に入ってからは100%を超えており加熱気味となっている。また、POST
IPOの動向として、初値と上場後一週間後の株価の関係を見ると、騰落率が高まった時期の銘柄はその後軟調に推移していることがわかる。この6月に上場した銘柄は100%このトレンドに合致している。
過去2年間で1000億円以上のファイナンスとなったIPO銘柄を見ると、2001年7月の日本マクドナルド、2001年12月の野村総合研究所、2002年4月の大同生命の3社がある。日経平均チャート上にIPOの時期をプロットしてみると、株式市場が下降局面でのIPOであった。それぞれの銘柄の上場後間もない期間の推移を見ると、初値、1週間後までは3銘柄ともに堅調に推移、1ヶ月後も野村総研、大同生命は上昇している。1年後を見ると、個別の企業のファンダメンタルに加えて、時価総額が大きい銘柄であるため、株価指数に連動した動きとなっている。
セイコーエプソンのファンダメンタルズを見てみると、代表的な比較会社としてキャノンがあるが、今期の業績予想でPERを比較すると両社ともに21倍前後となり、セイコーエプソンの公募価格2,600円はほぼフェアバリューと言える。但し、過去のケースから見ても、上場後1ヶ月間くらいはIPOプレミアムが働く為、外部環境に関係なく堅調に推移することが予想される。また、時価総額が大きい為、インデックス連動運用のファンドの組み入れが期待されるため、需給関係もしばらくは好調に推移するであろう。加えて、今回のセイコーエプソンの上場は、株価指数の上昇局面でのIPOであることが今後の動向を占う大きな要因となろう。
最後に個人投資家のセイコーエプソンへの人気のバロメーターとして、Yosoo.netというインターネットサイトの初値予想では、3,000円以上にオッズが集中しており、個人投資家にも人気の銘柄となっている。
参考サイト:Yosoo.Net⇒ https://reg.yosoo.net/campaign.php?pt=ipo
東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com
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