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Tokyo IPO
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「グリーンシート銘柄というベンチャー投資」
東京IPO編集長 西堀敬
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ベンチャー企業の資金調達が銀行の貸し渋りとベンチャーキャピタル(以下VC)の保守的な投資姿勢に喘いでいる。特に、上場を目前に控えた企業が事業拡大の為に必要となる資金を調達できない状況にある。数年前まではITベンチャーへの投資をこぞって競い合ったVCが、ベンチャー投資よりも企業再生案件に資金を振り向けている始末である。また、ベンチャー投資をまったく止めて、企業再生案件のみに注力しているVCまで出てきている状況を見るにつけ、日本のベンチャー企業の資金調達を誰が支えるのかという疑問を抱かざるを得ない。

間接金融とVCが支えきれないベンチャー企業の資金調達の場としてグリーンシート市場が注目を浴びそうな状況になってきた。これまでグリーンシート銘柄を扱っていた証券会社は、ディー・ブレイン証券、東洋証券、ジェット証券、沖縄証券の4社であったが、先週から松井証券もグリーンシート銘柄の新規募集の取扱に参加している。松井証券が加わることによってグリーンシート市場に参画する投資家が増えることが期待できる。

企業の立場で話を進めると、グリーンシート市場は非常に魅力的に映るが、投資家からすると非常に大きなリスクを伴う投資案件である。本来ならプロの機関投資家であるVCなどが経営者からヒアリングし審査を経た後に投資する案件である。それを目論見書だけで投資するのであるから、従来の新規上場株式を公募・売出しで買って上場日に売り抜けるような投資手法は通用しない。それは流動性の問題がその背景に存在するからである。確かに成長性という観点からは、投資に値するのかもしれないが、グリーンシート銘柄への投資は中長期の投資であることを忘れてはいけない。ディー・ブレイン証券のホームページにヒストリカルなデータがあるので参考にしていただきたいが(http://www.vimex.co.jp/mboard.asp)、過去1ヶ月間に一度も約定がなかった銘柄も多い上に、売り気配のみで買い気配がない銘柄もある。つまり募集で買っても、売ることは非常に困難であることを承知しておく必要がある。

これから投資をされようとしている個人投資家の皆さんにリスクばかりを説明すると臆病になってしまう可能性がある。そこでグリーンシート銘柄で出世銘柄として取り上げたいのが、今年5月1日に東証マザーズに上場したイーディーコントライブ(7853・マザ)だ。同社は2000年7月にグリーンシートに登録され、同時に株価22万円で株式の売出しが行なわれた。その後上場前に株式分割があり、当時の売出しで投資された方の取得コストは5万5千円(現在の株価ベース)である。上場時の公募・売出し価格は2万5千円であったが、今日の引値は10万3千円である。このように3年間の投資でおおよそ2倍になったケースもある。同社のグリーンシート登録時はまさにネットバブルの最中であり、22万円という高株価であったが、今日においては、新興株式市場に上場される銘柄同様に非常にシビアな公募価格が設定されている。その意味のおいては、中長期投資として、個人投資家のポートフォリオの一角を占めても良さそうなものである。

また、今日から募集が始まる株式会社ガイアフィールドの新株発行に関する会社内容説明書を見ると、今期・来期の予想BS,PL,CFが添付されている。
日本証券業協会は、グリーンシートの登録の条件に監査を過去1期のみとしているが、その代わりに登録期を含めて2期間の事業計画の開示を許可している。一般的に、新規上場会社に関する情報は、過去に関するものばかりであり将来性を占う為に定量化されたものが存在しないのが普通である。事業計画の信憑性については多少疑問が残る点もあるかもしれないが、グリーンシート銘柄は投資家本位の開示を心がけていると言える。

ベンチャー企業が資金調達に苦しんでいる今日において、グリーンシート市場を媒体として個人投資家マネーが少なからず彼らの応援団の役割を果たすことに期待したい。

【参考リンク先】
 日本証券業協会グリーンシート :http://www2.jsda.or.jp/greensheet/index.html

 ディー・ブレイン証券 :http://www.vimex.co.jp/

 松井証券グリーンシート:http://www.matsui.co.jp/greensheet/ipo.html

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東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com