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Tokyo IPO
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「年金という名の税金」
東京IPO編集長 西堀敬
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先週の年金基金の代行返上売りに関するコラムを書くにあたって年金に関する雑誌記事などを読み漁った。世に出回っている一般大衆を対象とした雑誌には大抵、年金に頼っていても老後は安泰ではない、とある。老後だけではなく、現役でもその負担は年を追うごとに厳しくなり、さらに今年からは厚生年金保険料に総額報酬制度が導入され、夏の賞与からも天引きされたのは記憶に新しいところである。現役サラリーマンで厚生年金の積み立てをしている我々にとっては、天引きされる年金積立金への対応策は全くなく、ただ毎月の給料から一定額を上納させられ、若ければ若いほどメリットがないシステムであることはどこの書物でも取り上げている。

株式市場の需給に大きく影響を与える年金基金の代行運用返上の愚かさについては前週述べたが、年金積立金として国が吸い上げた資金はいったいどのように使われているのだろうか?という疑問も感じずにはいられない。 代行返上された現金の行く末も心配であるが、そもそもの話どこでもあまり取り上げられていないのが不思議である。 
年金積立金資金の流れは大まかに以下のようになっている。
国民 (保険料)⇔(給付) 厚生労働省 (年金資金)⇔(運用益) 年金資金運用基金による市場運用 + 財政融資資金預託金
年金積立金の運用の大半を占める財政融資資金預託金の内訳を見ると、よくもこれだけドンブリ勘定をやっているものだと感心してしまう。預託金の残高は平成14年末で320兆円、そのうち4割近くを年金積立金が入っている。その運用先の具体例としては、国債、住宅金融公庫、地方公共団体、日本政策投資銀行、都市基盤整備公団等である。日本は対外債務の無い国とはよく言ったもので、国民からの預かり金で財政を賄っているだけなのである。筆者も住宅金融公庫にお世話になったことがあるので、文句を言えた義理では無いが、どう考えても虎の子の国民の資産を安全運用しているとは言い難いような気がしてならない。

国会議員や大臣が、郵便局で集めた国民の預金や年金の運用先として、株式投資を否定する発言があるが、株式市場での運用リスクの有無などは大きな問題ではないと考える。年金積立金の運用に関して、他の国民からの預かり金とは分別管理を行い、透明性の高い金融市場にて運用するのが本筋であるべきである。このままでは我々サラリーマンにとっては、政府の懐具合を調整するために年金という名の税金負担が毎年増えていくことになる。国民からの預り金を虎の子と呼ぶなら、政府は我々の年金を歳入のように扱うのは止めていただきたいものである。しかしながら年金制度を国が守ると宣言するのであれば、この際、税金として徴収し、国の歳入として計上してしまうのも一つの考え方かもしれない。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com