10月に入ってからのIPO銘柄の初値を見ると、イーアクセスまではなんとか説明できるが、そのあとのメディネット、カカクコムに至ってはバブルの様相を呈しているとしか考えられないような水準の初値となった。この水準で株主になった投資家の期待値を満足させるための経営の舵取りは相当な重圧となって経営者に圧し掛かることであろう。このあとの本日のコラムで、ドリームインキュベータの廣田氏がこの数年間のIPO企業の株価動向について業績と関連つけて分析していただいたので、IPO企業の経営者の方々は是非お読みいただきたい。また、Buy
& Holdタイプの投資家は廣田氏の視点を忘れないようにされたい。
さて、タイトルの「100ドルの壁」であるが、日経平均をドル建表示すると今日の引け値で$100(10966円÷109.6円)となる。2001年7月に$100ドルを割り込んだ日経平均は、2002年5月に$100に近づくが、その後この4月に$65まで下げている。外国人投資家は日経平均を買っているわけではなかろうが、なんらかの節目となる水準を持っているのではないだろうか。
日本をとりまく経済環境は、マクロの経済指標を見る限りにおいては、相当改善してきたが、先週の日経新聞のコラムを見ると、すでに景気の山は過ぎ去ろうとしているのではないかという論調も出てきている。投資家の循環物色が内需株に向かっているのは、円ベースの日本人投資家にしてみれば、為替の影響を受けないセクターにシフトということであろうが、ドルベースで投資を行う外人投資家にしてみれば、為替とキャピタルゲインの両方により一粒で2度おいしい思いをできるわけだ。
すでに外国人投資家は円ベースの投資家よりも高いパフォーマンスを上げているはずだ。日経平均は、4月28日のバブル崩壊後の最安値から直近の高値まで約1.45倍の上昇となっている。一方、円ドルの為替レートは、その間118円から108円まで約10%の円高となった。単純計算すれば、ドルベースの日経平均は、この6ヶ月間で1.45×1.1=1.6倍となったわけだ。
1989年のバブル崩壊後に日経平均株価が最安値を更新した後、1997年と2000年の2度にわたり$200の壁にチャレンジしたが、$200を破って上昇を続けることができなかった。今後、為替が落ち着きを取り戻し、巷で言われているように、年末にかけて12000円を伺う展開となると、節目となる日経平均ドルベース$100が上値抵抗線から下値抵抗線に変わる可能性がある。もし、為替レートが120円に戻れば、12000円になっても$100となり、再び壁として立ちはだかる可能性も十分ありうる。
読者の皆さんが外国人投資家だとしたら、すでに1.6倍となった株価をどのように見るであろうか。ここで売るべきか、はたまた更に買い進むべきか。
東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com
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