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Tokyo IPO
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「メディアの報道がサポートする株式市場」
東京IPO編集長 西堀敬
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選挙戦も本格化してきた10月23日、日経平均株価は554円46銭の下げ
となった。株価が下がった要因は、過熱感のあったところに米国の株安が契機 となって外国人投資家や信用取引で買っていた個人の利益確定売りが出たそう
だ。これに対してメディアの報道は、市場関係者の見方として「上昇の勢いが 止まった」「上値を買う材料が無い」という弱気派と「外国人投資家の買い越
し続く」「潮目変わらず」という強気派の両方が存在していることを紹介して いる。このように一見中立に見える報道も、よく見ると懸命にトレンドサポー
トを展開している跡が窺える。
株式市場が大きな下げを演じた24日の株式市場が引けたあと、ソニーとNE Cが中間決算の発表を行った。決算の内容に関しては、さほど衝撃は無く、当
初から予想されたとおりの結果を確認したにすぎなかった。この決算発表を受 けて、25日の両社の株価は素直に反応し、ソニーは下げ、NECは上げる結
果となったのだが、両社の決算に関する報道のされ方に少し疑問を感じた。
24日の日経新聞を見ると、1面にあるのは「NEC、今期復配」だけで、ソ ニーの業績悪化については触れられていない。日経金融ではトップに「ソニー
復活への道見えず」とあるが、こちらは市場関係者が読むプロ向きのメディア であるから影響力は少ないはずである。一方、24日の日経新聞の企業財務面
を見ると、「○○○経常黒字転換」「○○○最終黒字」「経常利益○○%増」 「純利益○倍」などの株式市場にとっては非常にポジティブな表現が並んでい
る。それにもまして、イーアクセスやキーエンスに関しては、決算発表もされ ていないのに発表数字を先取りしたかのような好業績に関する推測記事があっ
た。これらの一連の企業業績に関する報道は、前日が大幅な下げとなった株式 市場をサポートする材料と見えなくもない。
24日とは打って変わって25日の日経新聞は前日に決算発表した東芝の中間 期の赤字が堂々と1面にて報じられていた。東芝は通期では黒字になる決算を
発表しているにもかかわらず、パソコン事業の採算悪化の部分が大きくクロー ズアップされた報道となっている。一方の企業財務面では、同じく業績に関す
る推測記事があり、ケンタッキーの経常利益減額が囲み記事となっている。い みじくも24日は土曜日で株式市場がクローズしており、ネガティブな内容の
報道も週明けにはほとんどの投資家が消化しているに違いない。
市場の動向によって、同じ事実が記事となるときに扱われ方と表現が異なって 見えるのは筆者だけかもしれないが、株式市場を左右するほどの影響力を行使
できるメディアの論調が偶然だけで決まっているとは思えない。2001年9 月のニューヨークにおけるテロ事件の後に、市場関係者が「NY株式市場を守
るために株を買う」と発言しているところがテレビで報じられていた。このよ うに市場が大きく弱気に傾いているときに、メディアも同じ論調になってしま
っていては市場が益々弱気になってしまう。アナリストやストラテジストは、 外部環境に関係なく、いつも強気の人といつも弱気の人に分かれているが、多
くの投資家に影響力を持つメディアは大所高所から健全な市場運営をサポート している。
しかしながら、ひとつ気がかりな点は、観測記事で使われている数字が実際発
表される数値に限りなく近いことである。どうしてそのような数字がわかるの
であろうか?推して知るべしであるが、扱われる銘柄とタイミングについては
なんとも釈然としないときがあるのも事実だ。
東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com
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