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「投資を考えるシリーズ〜1.本物の投資家になるために」
株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎 

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皆さんは「投資」という言葉の持つ意味を真剣に考えたことがあるだろうか。
また、考えたことを実際に実行したことがあるだろうか。
投資というと、何だか我々日本人にはなじみの薄い言葉のようにも思えるが、実際には、身近で様々な投資が行われている。例えば、事業家の方々であれば、設備投資や人材投資など、事業を伸ばすための投資が実際に行われているだろうし、一般の個人の方でも、自己投資と称して、資格取得や、積極的にキャリアを積まれるなど将来の自分を育てるための投資は、熱心に実行されている方が多いのではないだろうか。
しかし、投資といっても、その中心に位置する株式投資となると、実際に考え実行する日本人は極端に少なくなる。投資自体は、我々の身近で頻繁に行われているのに、株式投資となると、急激に少なくなるのは一体なぜなのだろうか。
一つの答えとしては、株式投資で勝つことは難しいからだといえる。一説によれば市場の平均パフォーマンスに打ち勝つことができているのは全体の2割程度であるという。
ましてや個人投資家が、なみいる専門家(多くは機関投資家)を相手にして、市場に打ち勝つということは、並大抵でないことは容易に推察できる。
しかし、我々が陥りがちなこうした株式投資における多くの失敗の原因は、投資ではなく投機(ギャンブル)によるものではないだろうか。投資は明らかに投機とは違う。投資と投機ではその本質、奥の深さが全く違うと言っても過言ではない。

ここで投資の定義を改めて紐解いてみると、「利益を得る目的で資金を証券・事業などに投下すること」とある。一方、投機の定義においては、「偶然の利益を得る行為であり、価格変動による価格差から生じる利益を得ようとして行う売買行為」とある。
私は、決して投機の面白さを否定するわけではない。経済学的にみても投機的資金の供給は、呼び水となって市場の流動性の向上に大いに貢献しているわけであり、資本主義社会の潤滑油的な役割としても必要不可欠のものである。しかし、そこから生まれる果実は、偶然の産物であり、人間が作り出す叡智とは程遠いものである。競馬やパチンコなど極めてギャンブル性の高いもので富を築いたとしてもその人物が称賛されないのは当然のことといえよう。

本物の投資家になるためには、まずは投機と投資の違いをしっかりと自らが知ることである。自分が今、やっている活動が本当の投資なのか、それとも投機にすぎないのか。自分の投資活動をきちんと把握し、信念をもってすれば株式投資は、決してリスキーな投資ではない。それどころか株式市場は、万人にとって人生を豊かにし、かけがえのない財産を築くことを可能にする神聖な市場であるということに気が付くだろう。
次回は、本物の投資家になるために知っておかねばならない具体的な鍵について解説したいと思う。

株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎
            (証券アナリスト・IRコンサルタント)

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