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Tokyo IPO
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「(企業が)ピンチの時こそ(投資の)チャンスあり」
   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ 代表取締役 藤根 靖晃

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最近、吉野家ディー・アンド・シー(以下:吉野家)の株価を見ながら、今回のBSE問題に対する同社の危機管理への適切な対応を賞賛する一方で、個人投資家は本当に賢くなったな、と思う。
米国BSE問題が発生する前の株価(12/22)が170,000円。1月5日に瞬間的に133,000円という株価があったが、先週末(1/16)には162,000円にまで回復している。下落率は僅か4.7%であり、日常的な相場のブレの範囲に留まっている。
昔から業績に大きな影響を与える事故等が起こったときは、絶好の投資タイミングであることは言うまでもない。良く有る例が、ゲームソフト・メーカーのソフト発売延期による業績下方修正である。厳密に言えば、これには良い延期と悪い延期があるが、どちらも概ねその後にソフトが発売されれば株価は回復する(こちらも最近は以前ほど株価が大きく崩れることが無くなった)。

さて、吉野家であるが、門外漢の私がいまさら解説を加えるまでもないが、今回の米国産牛肉BSE問題は、突発的な外部要因から起こった問題であり、同社への信頼性を低下させるものではない。諸般の事情を鑑みれば牛肉の輸入禁止が長期に亙って続くとは考えられない。吉野屋自身、商品の多様化を図ろうとしていたので他の商品導入の絶好のタイミングとなる可能性が指摘できる。デフレが沈静化しつつある中で低価格路線からの脱却の機会となる可能性がある。こうした点を逸早く感じ取れるようになっている個人投資家の皆様には思わず頭が下がる。
もちろん、こうしたポジティブなことばかりではなく、吉野家と直接的な競合を避けて、逸早く商品の多様化を確立した先行企業との競争が激化する可能性が指摘できること、多様化モデルは単品経営ほどは収益性が上がらない可能性があること、値上げを試みて失敗すれば日本マクドナルドのように顧客離れにつながるなど、リスク要因も多く存在する。それにもかかわらず、堅調な株価はポジティブな面が強く評価されていることを示しており、これは同社の新商品投入への迅速な対応(正直に言ってもう既にカレー丼を売っているのには驚いた)と、“牛丼販売停止”を発表するなど
の思い切ったPR戦略にある。偶々見たNHKの報道番組に安部修二社長が出演していたが、輸入禁止解除を訴える真摯な姿に「頑張れ吉野家」と思ったのは小生だけではないだろう。

ピンチの中にチャンスがある。経営スピードの迅速さと危機管理能力の高さを市場に知らしめた吉野家の次のチャレンジに期待したいところである。ただし、投資タイミングとしては既に米国BSE問題の発生前の水準に戻りつつあることから妙味は薄い。同社は2月決算であることから2004.2月期業績への影響は限定的と考えられるが、2005.2月期の期初はかなり慎重な会社計画を出してくる可能性もあるということはお忘れなく。

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