まず、昨年秋から年末にかけてのIPO銘柄の初値の動きを見てみる。日経平均株価は10月21日に2003年の高値を付けて下げに転じたが、10月以降のIPO銘柄で初値が公開価格を割り込んだ銘柄は1件もなかった。
IPO銘柄の上場後の動きを見ると、輸出関連の大型株が円高の影響で下げがきつくなる中にあって、円高や需給悪に左右されにくいPOST-IPO銘柄に資金が集中する動きが1月半ばまで続いてきた。その背景には、12月24日にヴァリックとジップ・ホールディングがIPOしたあと、1月28日までIPOがないため、IPO銘柄関連の売買でキャピタルゲインを得た個人投資家の行き場のない資金がPOST-IPO銘柄で回転していると推測される。
それでは、今週から始まる今年のIPO銘柄はどうなるであろうか。読者の皆様は、IPO神話をご存知だろうか?過去を振り返ると、年初のIPO銘柄のパフォーマンスは抜群に良い。1998年から2003年までの6年間で年初第一号銘柄は負けなしである。この間にはネットバブルによる株価の高騰とその後の崩壊があった。99年〜2000年にかけては、株式市場も好調であり説明はつくが、2001年〜2003年にかけてはご存知のとおりであるにもかかわらず、株式市場全体の動向とは関係なく、完全に需要が供給を上回る一方通行になっているのである。
2000年以降の年初のIPO銘柄の初値騰落率をご紹介しておこう。
2000年 オーハシテクニカ:7.1%、マクニカ:80.0%、ムラチク:18.3%
2001年 メック:15.0%、シー・アイ・ジェイ:57.9%、クリード:326.7%
2002年 D3パブリッシャー:143.5%、ビーマップ:260.0%、ぴあ:110.0%
2003年 オックス情報:36.8%、エヌアイディー:16.6%、幻冬社:67.5%
因みに、今年はマクロミル(東証M)、ブレインナビ(大証ヘラクレス)、京王ズ(東証M)と続いていく。
しかしながら、ほとんどの投資家にとって重要なことは、初値ではなく、初値以降のセカンダリーマーケットの動きはどうかということである。先に紹介した2000年から2003年の12銘柄のうち、年末の株価が初値以上であったのは、2000年のオーハシテクニカ、2003年のオックス情報、エヌアイディーの3銘柄のみである。つまりBUY
and HOLDしていても大丈夫な確率は25%しかなかったということだ。
先週から今年のIPO銘柄のブックビルディングも始まり、目先の興味はPOST-IPO銘柄からIPO銘柄そのものに移ってきている。今週の水曜日には2銘柄が登場するが、基本姿勢として初値は強気であるべきだが、その後の株価推移に関しては、ケアフルウォッチで臨みたい。
東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com
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