1年前といま。多くの人にとっては天と地ほどの違いがあるかも知れない。それほどに環境が激変してきている。
昨年の2月。スペースシャトルの空中分解が新聞を賑わせたときのナスダック指数は1322。火星へ2つの観測機器を着陸させて技術力の高さを訴求してディスカバリーをリカバリーさせた今年、その指数は2066。この間の上昇率は56%だ。
昨年の2月。長期金利は最低の0.77をつけ、日経ジャスダック平均は998だった。今年、長期債利回りは1.32にまで回復し、ジャスダック平均は1523へとリカバーした。ジャスダック平均の変化率は52%で、ナスダック並みだ。これは韓国総合指数の43%を上回っている。日本の小型株市場は、長期金利に引っ張られる傾向が強かったが、今回もまた同じ格好で上伸を見せて
きた。
この上昇は維持できるだろうか。昨年12月、新規公開銘柄数の増加を理由に、需給悪化で株価は下がるとの意見が台頭した。意見は正しくもあり、大はずれでもあった。株価は小調整があったとは言え、下げはしなかった。その後は大連騰だった。この水準は維持できるだろうか。経済に米国ほどの力強さがない社会の株式が、米国並みに上昇していても、オーバーランではないのだろうか。
この市場を支えているのは個人だ。その個人の売買を見ると、昨年12月2週から平均売り金額が平均買い金額を上回り始めた。つまり、この市場に資金を投じている個人投資家は、利食い益を原資に次の投資ができる回転に入っていた。このことは、同じ小型株市場であるヘラクレスではもっと鮮明だ。昨年8月1週から同様な状態が続いているからだ。指数が上昇を見せた背景には、最大投資主体の懐が潤っていた好回転事情があったわけだ。
今年の新規公開は昨年以上のハイペース。優良銘柄を選ぶ選択幅が拡大している。加えて、市場は金融相場から業績相場への移行過程にある。店頭市場の平均PERは25倍を突破してきたが、予想業績の入れ替わりでこれが低下するのは確実だ。そして、PER水準で25倍までは安心できる実績が生まれた。下げそうで下げない展開が続く環境にある。上昇は維持できないかも知れないが、下げもないと言えるのではないか。
日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり)
|