今週は、久しぶりに個人の思うところを書けるスペースができた。ここのところ毎週のように新規上場企業の社長と面談した内容を書きつづけていたので、そろそろ自分自身の雑感も書きたい頃になってきた。今日は、読者の皆さんにもインサイダーになっていただくための方法をお話ししたい。
2月1日(日)それはインサイダー情報解禁日であった。と言っても何を意味しているのかまったく理解できない人も多いだろう。読者の皆様は「12時間ルール」というルールをご存知だろうか。このルールは、2004年2月1日から廃止されたルールなので今更説明に及ばないかもしれないが、一応、旧ルールとして紹介しておこう。「12時間ルール」とは、上場企業が開示する重要事実情報に関するインサイダー取引規制の措置のことである。形式的に説明すると、第一次情報の受領者は、2以上の報道機関への重要事実の公開後12時間経過(=公表)しなければ、インサイダー取引規制が解除されない。平たく説明すると、会社が記者クラブなどに決算短信を投げ込んだ時点から12時間過以内にその会社の株式を売買すると、インサイダー取引の疑義が起こりうる、ということだ。 そのときに重要なのは、その情報をもって株式の売買を行う者が、第一次情報受領者であるか否かの判断である。会社から直接情報を入手することができた者は第一次情報取得者になる、たとえそれが会社のHP(ホームページ)であってもそのような扱いになるのだ。ところが、情報メディア(ロイター、クイック、ブルームバーグetc)に掲載された情報であれば、すでに2次取得者ということで、お咎めなしということになる。こんな理不尽なルールが、つい先日までまかり通っていたのである。
ところが、今度は一転して、企業の重要事実等が上場する証券取引所に通知され、証券取引所において内閣府令で定める電磁的方法により公衆縦覧に供されたときをもって、それ以降はどのような媒体経由でその情報を入手してもインサイダー取引の対象とはならないのである。
なんだか難しくて解らないかもしれないので少し噛み砕いて説明しよう。まず、東京証券取引所のHPにある「適時開示情報閲覧サービス」(http://www.tse.or.jp/disclosure/index.html)をみていただきたい。2月1日以降は、当日開示された情報がすべて掲載されているが、1月31日までは当日分は翌日以降しか開示されていなかった。つまり、以前は12時間経過するまでに誰もが見られるようにすると、見た人はインサイダーになる恐れがあったからだ。ご覧のとおり、当日のザラ場中にも決算発表(決算短信)がファイルされており、株価に大きな影響を与える可能性すら存在する。1月31日までは高価な情報端末を持った機関投資家のみが先駆けて知りえた情報を、2月1日からは誰もが知りえる立場になった。 まさに、2004年2月1日はインサイダー情報解禁日であった。
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東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.comnishibori@tokyoipo.com
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