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Tokyo IPO
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「具体化してきた新型企業の姿」
日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり)
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役員総数10名、うち3人は監査役。これが、今年公開を発表した(する)会社の平均的ガバナンス体制だ。中には大阪証券取引所や新日本科学のように20人、という大所帯がないでもないが、少数の役員がチームを率いて機動的に業績の向上努力を行なう姿が容易に想像できる。
この中には大企業子会社も含まれている。社長が創業者である企業だけを切り出して見ると、平均役員数は8.8人に減り、監査役は2.8人に増える。精鋭度が高まり、監査役数不足になるリスクをカバーしようとしている。創業者が社長を務めているIPO企業の場合、社長の平均年齢は49.3歳。まだ、リーダーとしては若い。IPO企業の中でも、さらに先端的な部分だ。
この平均増は、時代変化の象徴だと捉えることができる。これまでの日本を支えてきたのは標準品量産型の生産技術だった。モノ作りのノウハウは、標準化と高い生産性を追求する中で培われた。そんな時代の強い会社が求めたのは、高いシェアを確保することから生じる普及品としてのブランド価値だった。それを作るのは巨大組織。多くの人を多くの人で管理する組織が向いていた。
ところが、産業が向かっているのは脱製造業。我が国のGDPに占める製造業依存度は20%を割ってきたことからも分かるように、多数の人が関与するモノ作りから、少数の人が高質のサービスを提供する産業構造への転換期に差し掛かっている。
IPO企業のトレンドはその構造を良く示している。伝統的な収益構造を持つ産業は、統合による規模拡大で、薄い利潤率を総額でカバーしようとしている。その一方で、厚い利潤率のソフト商品を少数特定者に売る産業が勃興している。そんな部分を注目しているのは個人投資家ばかりではない。投資主体者別売買統計を見ると、昨年からの株式市場上昇相場の中で、外国人もその存在感を高めていた。産業構造のトレンドは、産業人が内部からみているよりも、外部・外国からの方が良く見えるのかも知れない。
この動きが示唆しているのは、セカンダリー市場が、好決算の動向を注目し始める時期に、新興市場が売られる理由が見出せないということだ。
個人投資家には、これまでに得たキャピタルゲインがあり、評価益による心の余裕もある。外国人には、内需転換が始まった転換期の社会を買おうとする姿勢がある。これに応えるだけの新規公開予備群が目白押し状態に並んでいる。
問題は、損をしないかどうかではなく、どこを選べばより多くの利益を確保できるのか、という問題だ。そんな月が始まっているのだ、と思う。
日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり)
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