昨年10-12月期の実質経済成長率は改定値で前期比率6.4%となった。速報知の7%成長からは下方修正だが高水準の数値であった。この背景は、日経新聞の分析によると、「製品出荷の増加による在庫の減少で製造業の生産拡大余地が大きく、景気の持続的な回復を後押しする可能性がある」とある。米国経済が失速する可能性を秘めている米国の株式市場が軟調な動きをしているにもかかわらず、日本株は意外と底堅い動きとなっている。先週の水・木・金の調整局面にあっても、通常であれば1日300円を超す調整が起きそうなテクニカル指標面での過熱感があるにもかかわらず、売り一色にはならずに輸出関連のハイテクセクターに売りが集中しているだけである。銀行・不動産などのアンチデフレ銘柄は底堅いどころか昨年の夏場のような動きをしている。この相場に外国人買いが入っているとの新聞報道があるが、実際東証の投資部門別株式売買状況を見ると確かに外国人投資家は3月第1週も買い越しになっている。
外国人投資家の視点となる日経平均株価をドルベースで見ると、先週末はギリギリ100ドルでとどまった。日経平均株価はドルベースで昨年の4月には65ドル割れまで下げたが、その後11000円をつける過程において円高が進行し105ドル近くまで上昇して現在調整中である。日本政府の為替介入で嫌気が差した米国ドル建ての投資家にしてみればこれ以上の日本株買いは様子を見たくなる気持ちもわからないではない。この時期に替わって登場してきたのが、欧州の投資家である。為替動向を見ると、ユーロと円は対ドルで昨年からまったく同じ動きをしている。つまり、円高、ユーロ高はおなじ時期に同じように動いているということである。と言うことは、欧州の投資家にとって日本株投資は為替リスクが限定されているということに他ならない。そのうえに欧州に比べて、巨大消費地中国を近くに抱える日本経済は自国経済よりも成長性があると判断しているのではないだろうか。
日本経済が米国頼みと言われ続けて久しいが、どうやら米国一本やりではなさそうだということが徐々に内外で理解されだしたように思える。
欧州の投資家はすでに動き出したが、お腹がいっぱいになっているドル建の投資家が再度動き始めたときに本当の強気相場が始まるのではなかろうか。その時期を占うのは難しいが、円ドルレートが落ち着きを見せてくる時期と重なるのでないだろうか。つまり為替介入におびえる必要がなくなる為替水準でしばらく安定することが日本株再燃の着火点となりそうな気がする。
東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com
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