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Tokyo IPO
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雑感 〜中小型株相場と機関投資家の運用姿勢の変化〜
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ 代表取締役 藤根 靖晃
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まずは解放された5人の邦人の方、ご家族の方に心よりお喜びを申し上げたいと思います。
今回の邦人拉致を契機にアルジャジーラ( http://english.aljazeera.net/ )に積極的に目を通すようになったのであるが、日本のマスメディアが積極的に報じないもののイラク市民の死傷者は米軍のファルージャ攻撃以来、相当数にのぼっており、緊迫感が日増しに高まっているのが窺える。現在のイラク情勢は、対サダムフセイン支持者及びテロリスト、というような単純な構図では既に無くなっており、中東地域あるいはイスラム圏全域が世界経済に対して今まで以上にリスク要因としてその根を深めているという印象が強まっている。
こうした地政学上のリスクが増大しているにもかかわらず、日本の株高が続くのは何故だろうと逆に考えてしまう。長期金利も1.55%に上昇しており、リスクプレミアムを4%に置いてもPER水準は20倍弱にしかならない。現在のように30倍を超えるPERが常態化しているのには、長らく下げ相場に使っていたせいか、やや違和感がある(ただし、基準決算期の変わり目であるだけに2004年度の増益率を30%とするならば実質的には23〜24倍になる)。

2003年からの株価上昇は外人買いとネットトレーダーを主体とする個人であるが、日本の機関投資家も株式のウエイトを高めつつある。個人の金融資産が株式投信などリスクマネーに向かっていることが背景にあげられる。株式投信の純資産残高は1年前(2003年3月末)の6兆7,335億円から2004年3月末には10兆4,444億円と55%増加している。その殆どが相場の上昇によるものであるが(同期間のTOPIXは49.6%上昇)、銀行窓販を中心に販売が拡大傾向にあり、証券仲介業法の施行による銀行の参入によりこの傾向が強まる可能性が高い。実際、銀行と証券の共同店舗化が都銀を中心に急速に進みつつあるように思われる。また、新聞の人材募集欄でも投資信託会社を中心に募集が増えており、水面下ではヘッドハンターが活発に動いているようだ。最近、弊社のアナリストも純資産残高で第2位および第4位の投資信託会社にそれぞれ引き抜かれた。大手さんが弊社のようなベンチャー企業からわざわざ引き抜かなくてもと思うものの、大手機関投資家が欲するような人材が揃っているだけに標的になるのは仕方がないのかもしれない。

話が逸れたが、最近の募集の傾向を見ていると中小型株に強い人材が求められているようにも思う。既に今期(2004年度)の業績は織り込まれつつあり、全体相場(TOPIX)の大幅な上昇が継続しない限り、大型株でのパフォーマンスは限られてくる。そもそも大型株を中心とした運用ではパッシブ運用との差別化が困難であることは明白であろう。昨今は、ヘッジファンドや独立系投資顧問会社などの広がりも中小型株を後押ししている。ただし、既にJASDAQ市場のPERは東証一部を上回っており、単純な割安感は無くなっている。しかしながら、中小型株には内需関連(エレクトロニクス関連も含めて)が多く含まれるだけに国内景気回復の恩恵が具現化する過程で業績の大幅な好転が見込めるだけにまだ割安感のある企業は多く存在するように思われる。市場にやや過熱感がある中では選別的な物色がなされるのは言うまでもないが、機関投資家の運用姿勢に変化があるのであれば、意外と腰は強いのかもしれない。


株式会社ティー・アイ・ダヴリュ 代表取締役 藤根 靖晃

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