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「投資を考えるシリーズ 〜4.本物の投資家になるために」
株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎
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読者の皆さんは、今、ソニーと三洋電機、どちらかを買うとしたら、どっちを買うだろうか。そうねぇ。ソニーは、昔から好きだし、自分自身も製品を良く使ってるし、でも最近はどうかしら。そういえば薄型テレビでは出遅れたって聞いたし。業績はどうなのかしら。三洋電機の方はと、最近大きな役員異動があったみたいね。そうそう、中国企業と提携してたっけ。液晶事業は、エプソンと統合? 太陽電池のシェアはどうなってるのかな。四季報だけの情報じゃ、ちょっと分かりづらいわね。それより、株価はどうなってるの。ソニーは4670円、三洋電機のほうは536円か。ということは、ソニーの方が46万台で買えるから三洋電機より少し安く買えるわね。などと、自分の懐と相談しながら試行錯誤されるのではないだろうか。ほかにも〇〇〇〇会社が大幅分割、1株が4株になんて新聞記事を見て、我先にと買いに走ったことはないだろうか。
私は、前回のコラムで、投資スタイルについて述べ、株式投資を勘でやっているうちは素人の域を出ていないと断言した。株式投資で成功するためには勘の要素を省くことが大事だとも述べた。冒頭の思考パターンや投資に至るまでの行動は、多くの投資家が実際によく実施している行動パターンともいえる。投資銘柄をソニーか三洋電機に絞り込む際に、まずは手近な四季報あたりで業績を確認し、株価チャートを確認し購買に出る。少し慎重な人は買う前に証券会社等が出しているアナリストレポートを読みレーティング情報や目標株価をつかんだり、株式評論家の意見を聞いたりする人もいるだろう。こうした行動パターンは、株式投資で勝つためには当たり前の手順と考えてよい。少なくとも、ソニーか三洋電機いずれかに投資することを判断する時、鉛筆を転がして銘柄を決める人よりは、こうした基本的な手順を踏み、きちんと調べて投資する方がはるかに勝率は高いと考えることができる。
しかし、株式市場は常に効率的に動いている。効率的な市場とは、あらゆる情報を瞬時に飲み込んで株価に反映してしまう。残念ながら、あなたがソニーか三洋電機かを選択するときにとった調査や行動パターンは、誰もが実施しており、市場参加者全員が知っている情報であることのほうが多いのである。株式市場では、こうした情報はもはや情報とはいえない。無論、これらの情報も知らずに実際の投資行動に出ることは無謀極まりないが、例え知らなくても、情報としての価値がないものを知っていて投資したとしても、その投資行動は、鉛筆を転がして実施するものとあまり変わらない。いや、むしろビギナーズラックという言葉にも象徴されるように、知らずに投資した方が勝率が高いことすらあるかもしれない。こうしたことは、株式投資の経験が比較的長い自称玄人的な人が、株の初心者に負けてしまうというような皮肉な現象を作る場合がある。このため、はたから見ているものにとっては、株式投資とは、ますますギャンブル的に映るのかもしれない。
もっとも、それならば誰も知らない情報を入手することが株式投資で勝つコツなのだなとばかりに「ある会社が大幅に株式分割することを決定した」というような内部関係者でなければ知り得ないインサイダー情報をいかに仕入れるかなどとはゆめゆめ考えてはいけない。周知のごとく、内部者情報を知って取引をすることは、インサイダー取引といって証券取引法違反である。インサイダー取引規制に違反した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。法人の場合は3億円以下の罰金である。また、インサイダー取引で得た財産は没収とすごく厳しい罰則が待っている。こうしたルールを知っても知らなくてもインサイダー取引を実施すれば、あなたは本物の投資家どころか犯罪者になることを肝に銘じておかねばならない。
株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎(証券アナリスト・IRコンサルタント)
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