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運用システム構築について
 
クレイ フィンレイ プリンシパル 山本 潤
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運用は、行き当たりばったりで行うよりも、自分なりの運用システムを構築して行う方が利点が多いのではないでしょうか。
 
システムとは、運用の手順や売買基準を記述したものをシステムといいます。
 
システムの具体例とは、たとえば、以下のようなものです。

■■システム例その1(デイトレード)■■

@ 昨日の出来高を一昨日の出来高で割ります。この比率が5以上である銘柄をスクリーニングします。

A @の結果から、該当銘柄が出た場合、信用売りができるかどうかをチェックします。本日の寄り付きで、それらを空売りします。

B 2%の損切りルールを採用します。株価が寄り付きから2%上がった時点でゲームオーバーです。

C 逆に、運よく、下がった銘柄については、14:55ごろ買戻します。

D @の結果、比率が高い銘柄が多数出た場合は、上位5銘柄を売り仕掛けることにします。

E もし、比率が5以上の銘柄がなかった場合、トレードは見送ります。
 
これを営業日ごとに繰り返します。

さて、このシステムの特徴は、どういうところにあるでしょうか。
 
1) 出来高が以上に膨らんだ銘柄を空売りする。つまり、流動性がある銘柄をトレードするということになります。

2) 出来高の異常な増加は、価格の上下変動が大きいことを暗に示しています。大きく動く株を選ぶことになります。

3) 損切りをしますから、リスク管理は徹底されています。

このシステムの利点は、あれこれ考える無駄を省くことにあります。
機械的に売り買いを繰り返すだけですから、いつも感情的に回転売買をしてしまいがちな方には合った方法です。
かかる時間もわずかです。寄り前にスクリーニングを実施して、空売りができるかどうかをチェックして、注文を出します。損切り注文をあわせて出しておきます。
その損切り注文にひっかからない場合、引け前に買い戻しの注文を入れるだけです。

システム売買とは、かける時間がわずかで得られる結果が良好な場合が多いのです。

もちろん、システムには、ファンダメンタルズやPERなどのバリエーションの要素を入れることが可能です。

■■システム例 その2(1週間トレード)■■

@ SQ(※1)まで5営業日前にの期近の日経225のオプションを対象として、前日の日経平均の終値と行使価格が5%以上離れているものを選ぶ。

A対象の期近オプションを値段が10円、15円、20円、25円、30円でそれぞれ1枚づつ指す。

B損切りは評価損がポートフォーリオの5%を超えた時点で反対売買する。

C指値の枚数は、証拠金の制限範囲の50%までとする。

これでシステムとなります。

5日間、損切りに達しなければSQとなり、オプションは消滅。プレミアム収入が確定します。

このように、決めたルールを守るだけで、高い収益を実現しているトレーダーの方が多数いらっしゃいます。

買った銘柄が下がって、ウジウジと株価を日に何回もチェックして、イライラするより、システムでトレードをする方が、精神的にも安定します。

時間のないサラリーマンの方ほど、システム構築をする意義があると思います。

 これらのシステムは短期売買のシステムですが、より長期的な視点にたったシステムも構築することは可能です。

たとえば、日本の金利はさすがに2年後には上がっているだろうと思えば、以下のシステムもありでしょう。

■システム例 その3 (イヤートレード)

@ 国債先物の空売りを1単位する。現値の50銭上に売り指値をして約定を待つ。

A指値の変更は、一週間単位で行う。

B約定後は、ロールオーバー(※2)を限月の最終週に行う。

C途中のドローダウンは、ポートフォーリオの10%に設定する。損切りは10%を失った時点で行う。

D損切り後、損切りレベルの50銭上で売り指値をして約定を待つ。

E2年間、ロールオーバーをし続ける。利が乗っても、2年間は、利食いはしない。

これはかなり精神的にきついシステムです。ですが、日銀はいつかは金融緩和を止めるはずだという強い信念があれば、それを頼りに続けられるでしょう。

さて、今回は、デイトレード、ウイークトレード、イヤートレードと3つの例を見てきました。

肝心なことは、自分の経験則をシステムとして落とし込むことです。

そのシステムが上手くいくかどうかは、「検証」という作業があります。

検証には、過去のマーケットデータを用いるわけです。

こういう検証ばかり行っている人たちも世の中には存在します。

みなさんは、自分なりのシステムをお持ちでしょうか?

システムがはっきりとお持ちでない方は、システム売買の入門書をお読みになるのがよろしいかと思います。

テクニカル分析は、システム売買と相性がよろしいので、テクニカル分析をシステムに応用されている本は多数、本屋に並んでいます。

テクニカル分析は、ただ読むだけですと、頭に入りませんが、実際に運用システムに応用すると、すんなりと頭に入るものです。

たとえば、4日続落したら5日目の寄り付きは買い。4日連騰したら、5日目の寄り付きは売り。こういう単純な発想でも構いません。

損切りのレベルをまず決めて、利食いのレベルや時間を決めて、それでシステムは完成します。

(※1)SQ:Special Quotationの略。株価指数先物・オプションの決済の値段を指す。
(※2)ロールオーバー:受渡日の更新・先送りのことをいう。先物取引等での建玉を継続して保有するために、満期が到来する限月取引(直近限月)に、いったん既存の建玉を手仕舞う(反対売買を行う)と同時に、満期が先の限月(期先限月)において、同数量の新規の買建て又は売建てを行う取引を指す。
(※3)ドローダウン:投資による損失の結果として、純資産価値(ネット・アセット・バリュー)の下落額又は下落率を指す。

クレイ フィンレイ プリンシパル 山本 潤

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