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Tokyo IPO
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「投資を考えるシリーズ〜5.本物の投資家になるために」
株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎(証券アナリスト・IRコンサルタント)
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ハイテク株の代表格であるソニー。ソニーの株を1年前のこの時期に投資をしていたら、去年の4月末時点で2900円。現在の株価は、3890円だから、1株あたりの投資金額に対するROI(投資収益率)は、34.13%になる。この数字を見る限り、悪い投資ではない。しかし、この間の日経平均の推移をみると、日経ダウに投資したとしても、34.14%上昇しており、同等のパフォーマンスを上げることができたことが分かる。それでは、小泉政権発足時の2001年の4月時点、すなわちちょうど4年前から保有していたとすればどうか。同じように計算するとソニーの場合で−57.9%、日経ダウで−8.59%だ。つまり、去年の今頃投資していれば、どちらも成功しているといえるが、4年間持ち続けている投資家は未だ損をしていることになる。同じ銘柄を保有しているのにこんなにも差がでてしまう。株式投資とは、かくも難しいもので、この数字を見る限り、長期投資が短期投資よりもリスクが低いなどということは、幻想であることがわかるだろう。
ところで、ソニーと日経ダウを比較したとき日経ダウの方がローリスクでハイパフォーマンスであったことに意外感を持つ読者の方も多いのではないだろうか。少し堅い話になるが、証券理論の世界では、分散投資が進めば進むほど、リスク(非システマティック・リスクという)が低下することになる。理論的には、同じ投資をするならば日経ダウの方がよいということになるのである。
このように過去のチャートを見れば「ここで買ってここで売ればよかったのね」ということは一目瞭然だが、未来のことは何ひとつわからない。底値で拾って高値で売る。こんな当たり前のことができないのが株式投資なのだ。実際、1年間のうち東証1部上場銘柄でも2倍になる銘柄はちっともめずらしくない。株価チャートを見ているとその気になれば、私ならきっと成功できるかも・・・。などと誰もが株の魔力に取り付かれてしまう。特に昨今のような上昇相場では、そんな気持ちが湧いてくるのも無理もない。
一方、株式投資にはこういう側面もある。前述のソニー。46年前の上場時の最低株価は、305円。時価総額は、約3億円程度であったという。それが、今は約3.6兆円。単純に計算したとしても、投資金額は12000倍に成長したことになる。もちろん、物価上昇によるインフレ率は割引く必要があるが、それにしても大変な成長ぶりである。でも、47年間も株式保有なんて、ナンセンスと思う方もいらっしゃるかもしれない。そこで、もっと身近な例としてよく取り上げられる企業としてセブンイレブンがある。実は、この会社、1979年当時に1株1800円で購入していれば当時の180万円が現在は約1.2億円になる計算である。この間、約25年。資産は68倍に成長したことになる。昨今ではセブンイレブン1銘柄の投資によって相続対策で大変、などということにも冗談ではなく本当になっているようだ。
成長企業は、このように分割を繰り返すのが特長だ。同社の場合、上場後16回の分割を繰り返し、上場時に購入した1,000株は、前期末には38,070株
に増加しているというから驚きである。
さて、読者の皆様は、どちらの投資がお好みだろうか。チャートを見て短期売買により、利を稼ぐのか、第二のソニー、セブンイレブンを探すのか。
この両社の投資スタイルを考えるとき、片方は、株価を見、片方は会社を見ることに気がつくだろう。私は、株価を見てのテクニカル分析による短期売買は、頭から否定はしないが、後者の成長株投資よりもはるかに勘の要素が大きくリスクのある投資ではないかと考えている。昨今の上昇相場によるディトレーダーのハイパフォーマンスは、誠にけっこうな話だが、一般の個人投資家が、立会時間中、毎日のようにパソコンに向かい短期売買を繰り返して、プロ並みにトレーディングすることは、時間的観点、また精神的余裕から考えても、まず無理な話である。したがって、多くの個人投資家にお勧めしたいのが、後者の成長株投資である。成長株投資は、この投資で成功した投資家の感想を聞けば、株の醍醐味と言えるほど、ダイナミックで面白い投資であると語るに違いない。しかし、実際に成長株投資で成功した人の感想を聞くことは少ない。「沈黙は金なり」。本当の株の面白さを知っている投資家は、めったやたらに投資の成功を語ることはしないものなのである。
株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎
(証券アナリスト・IRコンサルタント)
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