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ゴルフ業界の救世主現る 〜ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)石坂社長に聞く〜
東京IPO編集長 西堀 敬

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読者の皆さんの中には週末にはゴルフを楽しんでいる人も多いのではないだろうか。1990年前後のバブル全盛の頃はプレーに3〜4万円かかったゴルフ場が、最近は半分の値段でプレーが可能になったところも多くあるようだ。筆者が4月に訪れたゴルフ場もバブルの象徴のようなクラブハウスでレストランも都内のホテルと勘違いするほど豪華なつくりであったが、プレーをしている人影はまばらでスタート時刻の変更も容易に行うことができたのには驚きがあった。一方で、ゴルフ場の破綻が続き、外資系のファンドが所有者になっているケースも多数見られる。その背景にはバブル時代に販売されたゴルフ会員権の預託金返金が1990年代の後半から始まり、対応できないゴルフ場が出てきたことにあるようだ。
このようなアゲンストの風が吹き荒れる中で、2000年にゴルフビジネスをスタートさせたゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)の石坂信也社長にお話をお伺いした。

石坂社長は小中学校時代を米国で過ごし、ゴルフは子供の頃から馴染みのあるスポーツだったらしい。しかし、社会人になってから接待や社内のコンペなどのゴルフを経験し、日本的なゴルフからは遠ざかったそうである。その後、米国ハーバード大学のMBAコース留学中に講義の中でインターネットとゴルフについてのレポートを書く機会があった。その際にゴルフダイジェスト社を経営している親戚の協力を得て、日本のゴルファー200人を対象にアンケートを行った結果、インターネットと日本のゴルファーは相性が良いことに気付いたそうだ。折しも留学中の1997年〜1999年のアメリカはインターネットと起業がブームとなっていた時期で帰国後は自らの起業も虎視眈々と狙っていたそうだ。

1999年6月に留学から帰国し、戻った三菱商事の金融企画部では、プライベートエクイティ関連のビジネス立ち上げに奔走する傍らで社内の重厚長大部門のインターネット化にも取り組んだ。その半年後の1999年12月には留学中から温めていた起業を実現するために三菱商事を退社し、GDOを設立すべく事業計画の作成や資金調達のための準備に入った。2000年5月にGDOを設立するにあたって、半年間は外部から資金調達しなくても良いだけの資金をまず用意することを念頭においた。そして、ゴルフダイジェスト社や仲間からも出資を仰ぎ8000万円の資本金でスタートし、計画どおり2000年11月まではエクイティファイナンスを行わなかった。IPOを目指したのは、ゴルフ全体のイメージ変革の為に、GDOがIPOをする事により業界全体の活性化を狙ったのと、投資家の外部資金を入れたことでイグジットを考えて公開という道を選択したということである。

GDO社のビジネスは、ゴルフ用品のEコマース(以下EC)、ゴルフ場向けサービス、メディアに分かれている。インターネットを使ったビジネスとして、ゴルフ場の予約サービスやアクセスするゴルファーを対象にサイトに広告などを打つなどは成り立ちうるように見えるが、ECだけはなんとなく難しいように思える。石坂社長にその辺をお伺いすると、他の商品のECと同様に、ショップなどで実際に触ってみて品定めをした後にインターネットで買い物をするという行為がゴルフ用品でも徐々に一般化しつつあるという言う。

ここから先は、筆者が石坂社長とのお話をしていて、確かにそうだな、と感じたところについてご紹介しておきたい。GDOはゴルフ産業において川下から参入した会社であり、最近の不良債権処理ビジネスとしてゴルフ場を買いあさっている外資系のファンドのようなアセットビジネスという上流からの参入ではないことだ。バブル時代にゴルフ場経営にチャレンジしたビジネスマンの大方はすでに失敗している。その後を引き継いで、ファンドに身を置く多くの金融マンがゴルフ場を再生しようと必死の努力を続けているが、その道は険しく、ゴルフ場経営の合理化と品質の維持と言う厳しい命題にチャレンジしている。日本のゴルフ場がどんどんファンドに買収されていく中にあって、最終的にゴルフ産業界にお金を落としてくれるゴルファーに一番近い存在にあるのがGDOではないかと感じる。石坂社長が実現したかったのは、ゴルファーに対する情報と機会の流動化であり、ゴルファーの声をゴルフ用品に反映させた商品を作っていくことである。どんなビジネスでも同じであるが、お金を払ってくれる人、つまり顧客への価値創造を忘れては、ビジネスは成り立たない。ゴルファーの声を集約してゴルフビジネスを展開するという意味において、GDOのポジショニングは最も有利なポジションにいると言えそうだ。石坂社長は、ゴルフ関連のデータは当社が日本でNo.1だと言う。このデータを利用すれば、いままでとはコンセプトやコスト構造の異なるゴルフビジネスが成り立ちそうだ。私の視点からすると、GDO社は、企業再生ならぬゴルフ業界再生の救世主と言っても過言ではなかろう。

より多くのゴルファーがGDOの会員になり、また株主になって自らのゴルフを楽しむ機会を増やしていただきたい。まずは、下のURLから会員登録を始めてみてはどうだろうか。

ゴルフダイジェスト・オンライン会社HPはこちら ⇒ http://www.golfdigest.co.jp/

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

 

 


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