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皆さんお使いのパソコンメーカーの名前は?〜MCJ(6670・マザ)島社長に聞く〜
東京IPO編集長 西堀 敬

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このメルマガをお読みになっている方々は例外なくパソコン、インターネット、電子メールのユーザーだと思う。そこで、あなたのパソコンのメーカーはどこですか?と聞かれて、すぐに答えられる人はきっとナショナルブランドのソニー、NEC、富士通などをお使いになっているのだろう。ところが、読者の中には、メーカーはどこだかわからないけど家電量販店のオリジナルモデルを買った、とおっしゃる方も多いのではないだろうか。これらのパソコンは、ホワイトボックスパソコンメーカーがOEM供給しているものを家電量販店が自社ブランドとして販売しているのである。BTO(Build to order)メーカーとしては初めて上場したMCJの島社長にお話をお伺いした。

6月1日に東証マザーズに上場したMCJ(マウスコンピュータージャパン)は、パソコン1台から受注生産するパソコンメーカーである。初値は公募価格90万円の2倍の180万円で寄り付き、翌日から3連騰となり、投資家の期待値は非常に高い。

島社長は若干30歳ではあるが、すでに経営の道を歩み始めて12年目の経験を持つ。19歳で起業した当時には家業の島衣類店が赤字続きであったため、当時島社長の手元資金は現金が4万円のみ、そのかわりに会社の借金は3000万円くらいあったそうだ。そんな厳しい環境の中での船出となったが、家業をそのまま続けるのではなく、小さな頃から好きで触っていたパソコンを分解、改造して秋葉原に売りにいくということで借金の返済を進めていったそうだ。とにかくお金儲けをするための道として選択したのがパソコンビジネスの始まりであった。

自作に近いパソコンがビジネスになることを知った島社長は、パソコン通信のサイトを構築して販路を拡張していった。BTOというビジネスモデルを選択したのは、お金がなかったことに加えて、借金をしたくなかったことから、顧客に先払いしてもらって組み立てを始めると言うキャッシュフロー経営そのものを自らの体験の中で身に付けて行ったのであった。そのおかげで、会社経営は創業以来黒字経営を続けており、実質債務はゼロという無借金企業である。

当社のビジネスモデルは、すでにご紹介したとおり、消費者の注文を受けてから製造し製品在庫を抱えないBTOモデルである。自社で製造するパソコンの商標は「マウスコンピューター」で、注文から納品までおおよそ2週間である。顧客層は、ビジネスを始めた頃は、学生やパソコンオタク的な20歳代の人ばかりだったそうだが、今日では30歳代の男性が中心となっている。顧客単価は平均すると6〜7万円くらいだそうだ。

販売先を見ると前々期の売上内訳は通販41.8%、直販18.7%、法人12.1%、家電量販店25.4%となっている。今期は家電量販店の売上比率が40%程度まで上昇する見込み。家電量販店が当社のパソコンを扱う背景には、まずオリジナルモデルを置くことができることに加えて、粗利面でメーカーパソコンが3〜5%程度であるのに比べて当社製品だとその倍以上とれるところにある。
但し、家電量販店向けのパソコンは1000台単位の注文となるところもあり、注文台数すべてが完成して引き渡すまでの期間が在庫となり資金負担が発生するところに難点がある。しかしながらスケールメリットが取れることと、今回のIPOで自己資本が充実し資金負担は苦にならないものと想像する。

当社のビジネスモデルを支える仕組みとして、台湾の部品メーカーとの提携や日立製作所の豊川工場に組み立てを委託していることはすでに開示されていることであるが、部品の仕入れの仕組みも非常にユニークである。当社は、受注状況を部品メーカーにウェッブ上で開示しており、部品メーカーは開示された情報を見て機動的に見積りを出す仕組みとなっている。業者と購買担当者の癒着なんてことは一切起こりようもなく、値引き交渉もなく一番安いところに発注されることになる。島社長曰く、スピードと透明性が最重要な仕組みを構築したそうだ。

米国ではデルやヒューレットパッカードのシェアを除いて、ホワイトボックスのシェアがすでに40%になっている。日本においてはデルのシェアが10%だが、近い将来においてシェアの30%くらいまでホワイトボックスが市場を占める日が来ると島社長は予想している。5年後にはMCJの市場は4〜5倍になっていると強気の姿勢で経営に望んでいるが、製品のラインナップにノートパソコンや液晶モニターを加え売上を伸ばしていく戦略のようだ。

最後に筆者の雑感を書きとめておく。
島社長は秋葉原にある6階建て店舗の5階に常駐しているが、ビルにはエレベータもなく、いつも駆け上がっているそうだ。島社長の夢は日本のデルになることだそうだが、徹底した節約で堅実経営を実践している姿は、米国のアマゾンドットコムを創業して世界一のオンラインショップを作り上げたジェフ・べゾスに似ているようにも思える。

MCJ会社ホームページ → http://www.mouse-jp.co.jp/

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com


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