■アセット クラスのお話■
アセットとは、資産。資産とは運用商品と言換えてもいいでしょう。
クラスとは、分類。分類とは、同様の特徴を持つもの同士の集合ということになります。
ですから、アセット クラスというのは、運用という視点から、同じカテゴリーに属するものが集合したものといえるでしょう。
違うアセット クラスを勉強しましょう。
それが今回のテーマです。
日本株式運用で成功するためにお薦めしたい方法は、
⇒株以外の資産や通貨という違うアセット クラスに対する造詣を深めること
です。
●アジア株
●日本やアジアの不動産(ワンルームマンションなど)
●債券市場(国債など)
●為替市場(米ドルなど)
●商品市況(原油など)
なぜならば、運用の世界はシームレスでアセット クラス間に境界のない世界だからです。
日本で起こっていることを日本の中だけで解決していける時代ではありません。
同様に、株の中だけを見ていて、株の将来を占うことはできなくなりました。
今後、金融自由化がアジアや中国で進めば進むほど、アセット クラス間の比較が重要になってきます。
比較とは、大きく分けて2つのものがあります。
⇒株と不動産という違うアセット クラス(資産の分類)同士の比較
⇒同じアセットクラスで違う国や違う市場同士の比較
今回は、違うアセットクラスを比較することの意味について考えてみたいと思います。
■アセットクラスの比較■
大切なことは、大きなアセットクラスの動向が小さなアセットクラスのパフォーマンスを決めてしまうという点です。
債券と株と不動産を比べると、株は小さなアセットクラスで、不動産や債券の規模は株よりもずっと大きいのです。
為替はもっと大きい市場です。
⇒株よりも債券や不動産市場の方が大きい。
⇒債券や不動産よりも通貨の市場の方が大きい。
株という同じアセットクラスでさえ、米国株という日本株の何倍もの規模のある市場の動向が、日本株の出来を左右します。
米国でナスダックが大きく下がった。次の日、日本ではそれを理由に株が売られたりします。
ところが、株というアセットは、いいときはいいのだけど、悪いときは散々駄目という性格のアセットです。
いってみれば、株はお調子者の部類に入るわけです。こういうアセット クラスは、駄目なときは、完全に無視されてしまいます。
よいときは、過剰に人気化してしまいます。
一方、債券や不動産は性格上、もう少し安定的なアセットです。
なぜならば、債券というのは、金銭的な約束事です。約束をするのは、国や大企業
です。
国が金銭的な約束を破ることはまずない。
不動産は、衣食住の住の部分を支える生活色の強いアセットです。
家賃が滞れば、追い出されるわけですから、まっさきに家賃の支払いを済ませる。
一方、株式は、金銭を返す返さないは、経営者の都合によります。(≠債券)
また、事業リスクを負うため、キャッシュフローが安定的ではありません。(≠不動産)
もっとも安定しているものがもっとも大きな資金を許容することができます。
⇒大きなアセット クラスは、安定的な商品(ロー リスク)
⇒小さなアセット クラスは、不安定な商品(ハイ リスク)
こうした安定しているはずのもの、債券や不動産が損なわれると、一国の難事となります。
難事とは、具体的には、激しいインフレ(=債券暴落)や激しいデフレ(=不動産暴落)ということになります。
不動産は、90年以降、総額で1000兆円以上が失われました。
90年代は、国難だったんですね。
こういう激しい時代を経て、ようやく、不動産に底入れの期待が持てるようになりました。
最近、東京都内の時価が反転したというニュースをよく聞くようになりました。
これは、株を占う上では、過小評価すべきことでありません。
■1% イン 10% アップ■
1% イン 10% アップ。
この言葉を今回、覚えていただきたいと思います。
時価総額のわずか1%の資金が流入しただけで、時価総額は10%上昇するという意味です。
日本株の時価総額はTOPIXで350兆円程度です。
ですから、3兆円が日本株に流入すれば、TOPIXはおよそ10%上がるでしょう。
35兆円流入すれば、TOPIX指数は倍になってもおかしくありません。
それでは、35兆円というのは、不動産市場が1300兆円程度ですから、不動産価格が平均して3%上昇すれば、35兆円の含みが出来ます。
それらの一部が株式市場へ流れれば、それだけで株価は何割も上がる可能性がある、ということがいえると思います。
あるいは、日本の国債価格が今後厳しくなるという見方が広がったらどうでしょうか。
国債市場の一部の資金が株に流れるだけで、株式市場は大変なインパクトを受けてしまいます。
大きな市場の動向、違うアセットクラス。こういうところを日本だけではなく、米国、欧州、アジアで見ている人たちの意見は大変貴重なものです。
是非、大きな視点で、株というものを見ていただきたいと思います。
山本 潤 スロー・インベストメント
〜ゆっくり考え ゆったり投資〜
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