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新規公開株式情報の東京IPO
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「株式市場の二面性」
クレイ フィンレイ プリンシパル 山本 潤
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▲かけめぐる情報 
株式市場は、かなり効率的です。
なぜなら、ニュースは一瞬のうちに世界をかけめぐるからです。
証券会社さんも、近頃は、世界中にアナリストを擁しています。
機関投資家も、同様です。
わたしが勤めるクレイ フィンレイもニューヨークやロンドンにアナリストが駐在しており、すべての情報を共有しています。そのため、せっかくよい情報であっても、株価はすぐに反応してしまいます。

前は、「いやー、電話したんですけど、不在でしたので、連絡が遅れました」ということが許されていました。いまは、携帯があります。電車にのっていても、つながったりする。また、メールがあります。宿泊先でPCをチェックしたりする。外資系では、何日もメールをチェックしないというだけで、怠慢と思われ、ひどいときは、それが理由で首になることさえあります。ただ、市場がたとえ「効率的」であっても、それが「正しい」とはいいきれません。「効率的に間違う」ことだってあるのです。

▲同じニュースでまったく違う行動をとる投資家たち
白色発光ダイオード(=白色LED)で基本的な特許を有している日亜化学は、先日、「特許を尊重する相手にはライセンスを与えることを検討している。実際、ある台湾メーカーとライセンス契約を締結するかもしれない」という趣旨をそのHPに載せました。

この報道を受けて、ある証券会社の台湾のアナリストは、こう考えました。「いままでライセンスを与えなかった日亜が台湾企業へのライセンスを認めるのであれば、台湾のLEDメーカーは、『買い』ではないか。シェアを日本勢から奪えるのではないか」

一方で、日本のアナリストは、こう考えました。
「いままで、特許使用料をとれなかったので、特許使用料を強引に徴収する戦略を打ち出したのではないか。いままで以上に日本のメーカーに有利ではないか?」

両者の考えは、まったく逆です。
さて、話を整理をするとこういうことです。

▲白色LEDの現状分析
1-1)白色LEDは、日亜の市場シェアが高い。
1-2)とくに、ハイエンドでは、圧倒的な強さを誇っています。
1-3)しかし、近年、ローエンドでは、台湾勢にシェアを奪われていました。
  (ローエンドとは、多少暗くても構わないような用途につかわれる輝度に劣る白色LED。)

2-1)台湾や韓国は、ローエンドで細々とやっているが、日亜の特許を侵害している可能性を承知しています。
2-2)彼らは内心、びくびくしているのですが、韓国や台湾の政府は日本からの特許侵害を事実上受け付けません。

3-1) 日亜は、取りこぼしがないように、ローエンド市場でシェアを奪い返したいと考えています。このままではなし崩しになるからです。
3−2)日本や欧米の機器メーカで、台湾製白色LEDが使われている場合は、その機器メーカを日亜が訴える強攻策をとっています。

よくよく考えると、「日亜はローエンド市場でいままでよりも利益を上げたい」ということを言っているにすぎませんね。

これを、第三者や競合者が「有利だ!」「不利だ!」という以前の問題ですね。

▲思惑で乱高下する株価
ところが、こういうニュースを受けて、実際に関連銘柄の株価が乱高下します。

市場は効率的に間違っている可能性があるのです。

たったひとつのニュースリリースでさえ、取り方が180度違うわけですから、大変なことです。

▲効率的であることよりも重要なこと
効率的に間違うよりは、非効率でもいいから、正しい投資をしたいですね。

ということで、わたしは、スローガンを掲げています。

それが、「スロー・インベストメント 〜ゆっくり考え ゆったり投資〜」です。

よくランダム・ウォーク理論で、市場は効率的だっていわれますが、確かにそうだと思うんですね。
でも、ひとつのニュースをどう解釈するかは、人間の良心や思慮深さによるわけです。

クレイ フィンレイ プリンシパル 山本 潤

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