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「フィードバック・システムとランダム・ウォーク」
クレイ フィンレイ プリンシパル 山本 潤
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〓1〓 ランダム・ウォーク
株価の動きはランダム・ウォークに従うというのがファイナンシャル・エンジニアリングの学会では当たり前になっています。頭のよい大学の先生方が「株価推移はランダム・ウォークに従う」としているにはそれなりの理由があるようです。

さて、ランダム・ウォークとは、今後の株価が上がるか、あるいは下がるのか、上がるとすればどのぐらい上がるのか、下がるとすればどのぐらい下がるのかは、過去にまったく影響を受けないという考え方です。

言い換えるなら、過去の株価の動きとこれからの株価の動きとは、独立しているという考え方です。(独立しているという前提があると、確率計算は非常に楽になり、リスク計量をするための実務は大幅に楽になります)

しかしながら、実際の株価は、過去の動きを参考にして、売買を行う人たちがいます。実際、過去と未来を完全に遮断されているとするランダム・ウォークを信じているトレーダーは少数派でしょう。

〓2〓 株価指標
株は、そうはいっても、金融資産です。金融資産の価格は、将来のリスクとリターンの見方で決まります。株価の割安割高を判断することを「投資判断」といいます。投資判断の材料として用いられるものに、「株価指標」があります。株価指標の代表的なものとしては、PBRとPERが有名です。

両者とも、P=PRICE=価格=株価を分子にとり、資産や収益を分母にとった分数ですから、
分子のPが下がれば下がるほど、資産や収益が不変であれば、指標は低下し、割安を示すことになります。

下がったものは、割安になり、引き合いが出てくる。上がったものは、割高になり、売り物が出てくる。

下がったものは上がり、上がったものが下がる。結果として、株価は永遠に続くことが可能になります。一定のレンジの中で、株価が動くというのが、フィードバック・システムです。

〓3〓 フィードバック・システム
フィードバック・システムとは、現在の株価や投資指標の水準を過去の水準と比較し、安定的な状態をつくることを目的としたものです。

なぜなら、状態が不安定になれば、その不安定さを放置していくと、行き着くところまで行き着くことになります。これは、終焉を意味します。「すべてのものには終わりがある」といいます。

システムが不安定な場合とは、発散したりして、落ち着かない状態を表します。制御不能な状態、ある状態に収斂しない場合を指しています。

一方で、「明けない夜はない」ともいいます。システムが、不安定になることを防ぎ、行き過ぎを押えることで、安定的なシステムをつくること。それが人類がこれまで取り組んできた歴史です。

フィードバック・システムとは、
@現在の株価や投資指標を過去の平均的な株価や投資手法と比べる比較作業
A現在の株価や投資指標が割高であれば、購入を控え、割安であれば、購入を促す
Bさらに、@に戻り、永遠に@→A→Bを繰り返す

「過去と未来」を「原因と結果」でつないでいく人的な作業になります。

〓4〓 熱狂と絶望と
不動産利回りが5%のとき、流動性に勝る株式の配当利回りが5%であれば、株式の購入を促す。

いわば、需要曲線に見合った需要が、価格の低下と共に生じてくる、経済学的な根拠を持つシステムです。

ところが、株価は、このようなフィードバック・システムが作動しない局面があります。

それが、熱狂や絶望といわれるものです。バブルと大暴落というセットです。

バブル発生とその消滅とは、非常に不安定なシステムです。

なぜならば、上がることが上がる理由になるからです。下がることが下がる理由になるからです。
これも、「過去と未来」が「原因と結果」でつながっているシステムには変わりないのですが、違うのは、自己増殖過程を含む点です。フィードバック・システムが安定を目指す長期投資家の考えに合致するとすれば、バブル発生やその崩壊は、短期投資家の欲求を満たすものといえます。

〓5〓 再びランダムウォーク
実際の相場では、両者が合わさっています。自己増殖するという発散過程と安定を取り戻す過程。その両者が局面局面で姿を変えていくために、株価をランダムに扱うことが実務上得策になっているのです。

クレイ フィンレイ プリンシパル
山本 潤 スロー・インベストメント 〜ゆっくり考えゆったり投資〜

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