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編集長のジャスト・フィーリング
インターネットビジネスはリアルビジネスの時価総額に影響を与えうるか
東京IPO編集長 西堀 敬

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先週の19日、米国ナスダック市場にネット上の検索ソフトウェア技術をもつグ ーグル(http://www.google.com/)がIPOした。上場前に各種の問題が勃発 し、直前に公募・売り出し価格を引き下げるなどで市場の参加者から批判も受 けたが、公募・売り出し価格85ドルに対して初日の終値は100.335ドルと堅調な 船出となった。翌日の20日の終値も108.31ドルとなり、米国のインタ―ネット 銘柄ではイーベイ、ヤフーに次ぐ三番目の時価総額の企業となった。

グーグルのIPOの成功を受けて、金曜日に日本のインターネット銘柄も大き く反発した。ヤフージャパンはもちろんのことであるが、イーコマース関連で 今年IPOしたゴルフダイジェストオンライン、ケンコーコム、ネットプライ スなどはその流れを受けて今日も堅調に推移した。IPO銘柄では、本日、大 証ヘラクレス市場に上場したイーネット・ジャパンの初値騰落率が132.56%と7 月下旬からぱっとしなかった初値のトレンドを変えるのではないかと思わせる ような動きとなった。イーネットの初値が今後のIPO銘柄にまで影響する可 能性については言及を避けたいが、少なくともインターネット関連の事業につ いてはトレンドメーカーとなる可能性が出てきたといえる。

日本のインターネット銘柄の代表は、いままでヤフーと楽天に集約されるとい っても過言ではい。日本特有のインターネット環境である携帯電話インターネ ットの代表格であるインデックスもインターネット銘柄と言えないでもないが 、時価総額をみると2000億円弱で、ヤフーの4兆円、楽天の8000億円にはまだま だ及ばない水準である。ところが、ここで重要なことは株式市場も実際のビジ ネスもゼロサムであるということだ。つまり、ヤフーと楽天は競合関係にある のではなくて、本当は2社の競合はリアルビジネスであるはずだ、というのが筆 者の持論だ。

米国のアマゾン・ドット・コムが出てきた時リアルの書籍販売事業者の株価が 下落したことを皆さんも記憶されているはずだ。楽天がイーコマースの代表企 業だと言うならば、小売業の株価に大きく影響を与えるはずである。また、ヤ フーがメディア企業だとすれば、テレビ局各社の株価に影響を与えるはずであ る。ところがその動きは顕著には表れていないばかりか、アナリスト連中もイ ンターネット銘柄という範疇にすべてを押し込み新しいセクターとして取り上 げてしまっている。

しかしながら、リアルがネットにシフトしていることが鮮明であることは、読 者の皆さんが一番良く承知されているはずである。その代表格が証券ビジネス であり、続いて旅行、興行のチケットなどもどんどんネットに移行しつつある 。イーコマース企業として今年4社目の上場となったイーネット・ジャパンが、 どの企業のビジネスを奪っているとは明言できないがリアルの小売業のビジネ スを圧迫していることは間違いない事実である。今までなら、業界全体でその ような動きに歯止めをかけるべく政治に訴えたりして、自らの利益を守るべく ルールを作り変えてきたのであろうが、もはやこの流れを止めることは不可能 であると考えられる。なぜならば、国民的なレベルでのユーザーがネット事業 者達を支持しているからである。

読者の皆さんがインターネット銘柄に投資する際に、どこが勝ち組みになるか を考えるのではなく、リアルビジネスのどの企業に影響を与えるのかを考えた ほうが投資のチャンスはあるのかもしれない。もちろん、リアルビジネス銘柄 は売りから入るべきであることは言うまでもない。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

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