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投資を考えるシリーズ〜9.本物の投資家になるために
    株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎(証券アナリスト・IRコンサルタント)

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ウォーレン・バフェットほど、成功した投資家で数多くの著述がある投資家もいないだろう。既に読者の皆さんは、バフェットがどういう人物かよく知っているかもしれないが、ここでは彼の人なりと成功までの奇跡を簡単に述べたいと思う。ウォーレン・バフェットは、1930年に米国ネブラスカ州オマ ハで生まれた。バフェットは、故郷ネブラスカ大学を卒業後、ハーバード大学のビジネスクールを目指すが失敗し、コロンビア大学の大学院に入学した 。そこで彼は、恩師となるベンジャミン・グレアムの元で投資理論を学び、 投資家としての基礎を築いたのである。

彼がはじめて投資家として運用を開始したのは、若干25歳の時である。グレアムの元で学んだ知識を基に7人の投資家から集めた総額10万5000ドルのパートナーシップ・リミテッドを組成したのだ。この時バフェット自身が、フ ァンドに投資した額は、たった100ドル。しかし、バフェットはゼネラル・ パートナーとなり、パートナーシップの資金を自由に投資できる立場にあった。初期のファンドは、その後13年間のうちに年率30%弱の勢いで資産を増加させていった。彼の評価が高まるにつれ、バフェットに資産運用を頼む人が増えていった。そんな折、彼は誰もが知っているアメックスで大勝負に出る。 あるスキャンダルで一日のうちに半値近くに下がった同社株でパートナーシ ップの40%にも相当する大胆な投資を行ったのである。この時、バッフェトの胸のうちは、「強い会社が会社の実体価値以下である時は断固として行動せよ」という恩師グレアムの言葉が焼きついていたという。無論、彼はその勝 負に勝った。その後2年間でアメックスは、3倍に上昇し、2000万ドルの利益をパートナーシップは受け取ることができたのである。

その後、彼はバークシャー・ハサウエィ社という小さな織物会社の経営権を 手に入れる。実際のところ、同社の織物事業の経営は芳しくなく、100年続い た事業ではあったが、撤退を決意し、かわりに同社が買収した保険事業を主として経営することになった。この保険事業への進出が、世界最大級の投資 会社バークシャー・ハサウエィ社の出発点であったといっていいだろう。そ の後、保険事業は、彼自身の才覚と買収戦略で大きく伸長し、バークシャー社の基礎をつくった。その間、彼はチョコレート会社、アイスクリームとハンバーガーのチェーン、家具屋、塗装屋、電機掃除機や電力会社、宝石店、 靴製造やユニホーム製造の会社など様々な事業を次々と傘下に収め、巨大化 していくのである。

と、ここまで書くと読者の皆さんは、彼は投資家ではなく事業家ではないのかという疑問も湧いてくるだろう。確かに、ハサウエィ社には、保険会社をはじめとして様々な企業を抱えているが、結果としてそうなったと考えるべ きであって、ハサウエィ社自体は、持株会社的な存在であり、事業の選別や展開を示唆するのものは、常に投資家としての視点なのである。

バフェットの過去を研究していると、彼自身の投資哲学が実践と弛まない研究によって作り出されたものであることが分かる。私は、本物の投資家になるためには、成功者である彼の成功哲学をよく分析し、応用する必要がある と思う。バフェットは、まず投資の基本ともいうべき証券分析の父であるグレアムに師事し、実によく基本を勉強してい。すなわち投資に対する勤勉 な態度が必要だ。そして、最初は少額からはじめ、数年をかけてその企業を 観察し、決して数ヶ月で投資の結論を出すという投機的な活動をしていない。 また、アメックスの例に見られるように、対象となる企業の株価水準と決断後の集中投資にハイパフォーマンスの利点があることを実践している。また 、投資対象が、保険会社やチョコレート会社、家具屋や宝石屋など私たちの生活に密着した分かりやすい企業に投資していることも大きな特徴といえる し、目に見える国内成長企業に投資しており、海外企業など分かりにくい企業には投資していないことにも注目すべきである。

無論、私たちは、これからの投資戦略を組むに当ってバフェットが生きてきた時代とは、外部環境が随分違うことに注意しなければならない。しかし、 世の中には常に間違いのない定石というものがある。バフェットが近年に実施した投資パフォーマンスは、私たちに大きなヒントを与えてくれていると考えていいだろう。バフェットがハサウエィ社の経営権を握った時、同社の純資産は2200万ドルに過ぎなかったが、それから35年で、同社は690億ドルと 3000倍もの成長を見せた。これから30年間でバフェットが成し遂げた投資パフォーマンスを私たちが上げるのは無理なのだろうか。そんなことはない。 時代は常に変化し続けている。次回以降は、私が考えるバフェット流のこれからの時代の成長株投資のあり方を述べていきたいと思う。

株式会社KCR総研 代表取締役 金田洋次郎
           (証券アナリスト・IRコンサルタント)

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