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新規公開株式情報の東京IPO
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編集長のジャスト・フィーリング
 IPOは失速したか?
東京IPO編集長 西堀敬
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今日の日経平均は、先週の日銀短観を受けて企業の景況感が市場予想を大幅に上回って改善したことを好感し金曜日に引き続き大幅続伸となった。では、IPOのほうはどうだろうか。先週はIPO銘柄の初値が公募価格を割る事態が発生し、昨年の9月19日のIPOから始まった連勝記録は9月29日の三星食品で途切れてしまった。この出来事だけを大きく取り上げて、メディアは「IPO失速」なんていう言葉で表現しているが、その実態を詳しく知っておく必要があるだろう。

今日のコラムはこの1年間のIPO銘柄の動向について解説を行い、年末に向けたIPO銘柄の投資戦略のヒントになれば幸いである。

150連勝が始まる前日の2003年9月18日は、同日に6銘柄のIPOとなり人気が分散したこともあり1銘柄が公募価格割れとなったが、2銘柄続けて公募価格割れ初値となった時期まで遡ると同年の3月25日となる。その後9月18日までの44銘柄のうち公募価格割れの初値となったのは2銘柄のみである。つまりこのIPO相場は昨年の4月から始まり、この9月29日に終わったというのが正しいのではないだろうか。

次に連勝した150銘柄についての分析であるが、これらの銘柄は幸運にも初値は公募価格をクリアできたが、その後の動きはどうであろうか。初値と先週の9月30日の株価を比較すると、初値割れしている銘柄が94社ある。なんと3社のうち2社は初値を維持していないのである。特に今年の4月以降にIPOした企業の多くが大幅な初値割れ状態となっている傾向がみられる。初値騰落率が5倍、6倍まで付けた銘柄がこの時期に集中していることからすれば、まさに「山高ければ谷深し」の状態になっている。これらの銘柄群の初値は、企業成長の数年先の企業価値を初値で実現しており、初値水準を回復するには
相当の時間が要すると考えられる。

ここから先は、IPO銘柄のセカンダリーマーケットでの投資戦略であるが、昨年10月〜12月のIPO銘柄の初値騰落率とその後の値動きにヒントが隠されている。詳しくは、筆者の今週末IR会社説明会での講演での内容となるのでここでは差し控えたいが、http://www.tokyoipo.com/top/iposche/index.php?j_e=J&yr=2003 をじっくりと見ていただきたい。 初値騰落率が100%超の銘柄群の上場後3ヵ月後の株価と20%未満の3ヵ月後の株価を比較していただきたい(計算は手間がかかるが読者自ら行っていただきたい)。結論は、20%未満の銘柄を初値ですべて買って3ヶ月間ホールドすると平均で30%超のキャピタルゲインを得られる。一方、100%超の銘柄群はほとんどイーブンでキャピタルゲインは無いに等しい。6ヶ月を過ぎるあたりから、初値騰落率が100%超の銘柄群にもバラツキが出始めるが、読者の皆さんのほとんどは、3ヶ月間くらいが保有できる期間としては我慢の限界ではなかろうか。どうしてこのような現象が起こるのかについてはIR会社説明会の講演の場でお話をさせていただきたい。

今回のコラムの結論は、公募価格割れの初値が続くということは投資のチャンスだということである。メディアは悲観的な表現をしているが、これからの初値の動きには要チェック!!で臨もう。


東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

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