先月の終わりに「何でも初値を取りに行く短期投資一辺倒から、内容を吟味する投資への転換期」だと書いたら、でもそれはどのように選別するのが問題なのではないのか、というご意見を頂戴した。全くその通りだ。
勿論、突き放した言い方をすれば、そんな選択基準を持っていないのならば、何も株式投資をしてくれと頼んでいるわけじゃないのだから買わなければ良いではないか、と言える。そうでなければ損失の自己責任も納得できまいとも思う。ただ、そう言い切ってしまえば、市場コメントとしては無責任にもなる。
そんな訳で、統計的な傾向に触れて見たい。今回考えているのは、今年1月以降に新興市場で公開した銘柄のうち、10月22日までの間に、公開3ヵ月後の応答日を迎える69銘柄だ。
この母数で、公開後の「値保ち」がいい銘柄を考えてみた。公募株の抽選に当りやすい方法を考えるのでなければ、セカンダリーとして生まれてから以降の株価が投資の対象となるからだ。傾向的に言える第一は、初値/公募倍率が高すぎるものは3月後/1月後株価が低いという事だ。とりわけ初値人気が2.5倍を越したものは避けるのが無難だろう。
二つ目は、若い会社を狙えということだ。創業から公開までの期間が短い会社は、それだけ成長力が高いと言い換えることができる。傾向的には、社齢が短い会社ほど、初値と1月後の株価乖離が大きい。
三つ目は前期経常利益の伸び率が高い会社ほど、1ヵ月後の株価は値保ちが良いということだ。これは成長力ともかかわる話だが、成長力が持続性を持っているのかどうかは企業価値を見る上で重要な要因となっているのだろう。
企業価値向上の側面で見れば、VCの存在は侮れない。傾向的にはVC持株比率の高い企業の1ヵ月後株価は高い傾向がある。VC持株比率が極めて高い銘柄の中には、株価も大変高くなるものが見られる。銘柄にもよるが、ハンズオンによる経営参加が有効に働いている場合がある。
五つ目に、そんな会社の平均年齢は若いことが多い。平均年齢35歳以下の場合は狙い目だ。これで目論見書の見るポイントは絞られてくる。他にもあるが紙幅が尽きた。(候鳥)
日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり) |