株式投資は面白い側面があります。
事業環境が悪くなって、今後も悪くなる見通しのときに、株価は一足先に底を打つからです。
景気の悪化が心配されています。多分、10−12月のGDPは想定より弱くなる可能性が高いと見ています。
「10−12月のGDPが弱い」。
読者は、株を買いますか? 売りますか?
面白いことに、弱いGDPで、株価は上がる可能性が高いのです。
経済状況が悪くなっているという認識をみんなが共有することで、株を売りたい人たちはもうすでに売ってしまった状況が段々でてきます。
金融当局は量的緩和の継続など、必要措置を取りはじめます。
政府が増税などの国民負担を先送りするようになります。
そうなると、金融相場と呼ばれる株価上昇局面が現れるからです。
「景気の先行きが心配だ」という声が上がれば、市場心理は弱気に傾き、下落するというのが通常のテキストで教わる株式投資かもしれません。
しかし、景気の先行きが心配だという認識は、すでに株式市場がこの1年間抱きつづけていたことです。もう、株価を下へ動かす材料ではありません。
景気が徐々に悪化するという証拠が出てきたとき、株価は底打ち局面に入っていきます。
つまり、「景気の悪化懸念」と来年始めに新聞紙上で賑わえば、市場心理は強気に傾き、株価は上昇するということが市場関係者の読みです。
なぜ、こういう逆説的なことが起こるのでしょうか。
経済の先行指標の中でリーディングインディケーターといわれるものがあります。
たとえば、鉱工業生産指数です。この鉱工業生産指数よりも、実際の株価は6ヶ月程度、先行する傾向があります。
もっとも景気に先行する指標よりもさらに半年先行するのが株式市場だということを知る必要があります。
年明けまでは株価は足踏みするかもしれませんが、株式市場は景気悪化の指標を最後の買い場と見定めている節があるのでご注意ください。
◆インベストメント・クロック◆
景気は4つの局面に分割されます。
第1局面は景気の回復局面: 経済指標は弱い。金融緩和への転換。潜在成長率よりGDP成長率が低い。株価上昇。
第2局面は景気の拡大局面: 経済指標が改善。金融緩和継続。潜在成長率よりGDP成長率が高い。株価上昇。
第3局面は景気のピークアウト局面:経済指標が強い。金融引締めへの転換。潜在成長率よりGDP成長率が高い。株価下落。
第4局面は景気の後退局面:経済指標が悪化。金融引締め継続。潜在成長率がGDPより低い。株価下落。
現在は、米国を見ると、第4局面にあるというのが市場の見方です。
米国は金融の引き締めを継続しています。
そろそろ第1局面に戻るのではないかという期待から米国株が底打ちとなっているのです。
日本株は、米国株の影響を強く受ける市場です。
米国の金利引き締め政策の転換がすでに織り込まれている可能性があるということを指摘したいと思います。
そうなると2005年は、年末には、14000円程度が見込まれるよい相場になる可能性もあるのではないでしょうか。
来年は特によい相場であるのではないかと思い始めています。
山本 潤
ゆっくり考え ゆったり投資
〜スロー・インベストメント〜
|