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自分が住んでいるマンションは大丈夫か?〜日本ERI(JQ2419)鈴木社長に聞く〜
東京IPO編集長 西堀敬


日本ERI株式会社 代表取締役社長 鈴木 崇英氏

寝ている最中に、「グラグラ」と体が揺れて、また地震が来た、と思うことがよくある。そんなときにいつも思い浮かべるのは、このマンション大丈夫だろうか?という疑問と不安である。購入するときの分厚いカラーのパンフレットには免震構造と書いてあったが、本当にそのとおり設計されているのか、そして設計どおり構築されているのか、という疑念が起こるが、自分では確認のしようがないのが事実である。たぶん役所が確認しているのであろうが、事が起こった後に、建築基準法違反だったなんてことがよくある。

今回は、11月11日にJASDAQ市場に上場された日本ERIの鈴木社長にお話をお伺いしてきた。同社は日本で初めての「民間の建築確認機関」として1999年に設立された。日本においては、当社が設立される年までは、役所がすべての建築確認を行っていたが、建築基準法の改正により、完全なる民間企業の参入が可能となった。

では、建築確認とはいったい何をするのか?ということであるが、当社では、図面が建築基準法に適合しているかどうかのチェックを行うのであるが、意匠、構造、設備などの順に最低3名の人間が確認を行う。設計図の検査を確認と言うが、その後に建築現場にて建築中に中間検査、建設完了時に完了検査を行う。それぞれ、「確認済証」「検査済証」を交付して検査が行われたことを実証する仕組みとなっている。

このような検査を行っている民間(財団も含める)の業者は全国で103社あるようだが、事業規模からすると当社が最大規模である。2番手の企業はどこか?と鈴木社長に尋ねてみたが、登録事業者の情報開示が進んでいないため、資格取得者数や事業所展開から推測すると、当社の1/5〜1/10程度ではないかとのことだ。なぜ競合が多く出てこないのかという疑問であるが、鈴木社長によると、元々は役所の仕事で儲かる仕組みや価格設定がなされていないため、純粋な民間企業の事業として成り立たないという見方が支配していたのではないだろうかと言う。

では、どうして当社は事業として成り立っているのか?という疑問がでてくる。当社の料金は他社や役所の1.5〜2倍だが、検査に要する時間が早いという強みをもっている。例えば役所だと3ヶ月かかるところを当社は3週間で終える、といった具合だ。確認業務の料金は5000平米の建物で、18万円程度だそうだが、当社の確認件数は年間約4.7万件近くで、一戸建てや検査事務の料金も含めると1件あたりの単価は4〜5万円程度になっている。

建築確認の件数は、全国規模で昨年は82万件程度であるが徐々に低下の傾向にあったが最近は75万件前後で推移している。その中で民間のシェアは、2002年が33%、2003年が45%であったが、2004年は50%超になると予想される。当社においては昨年度の3.3%から今期は5%までシェアを上げてきており、目標としては、件数において市場の10%のシェアを目指していきたいそうだ。

今後の売上計画については、最低でも毎年10億円くらいの増収を目指しており、経常利益率は10%程度を確保していきたい。また、株主還元については、できれば配当性向を40%にまで引き上げていきたい意向だ。非効率で採算性に合わない建築確認業務を続けている役所のシェアが順次下がってくることを考えると、創業当時から全国展開を目指して、それを着実に実践している当社の優位性は大きく、5年後には売上100億円、経常利益10億円という水準まではすでに視野に入っているといってもいいだろう。

兎にも角にも、地震大国である日本においては、建築物の検査はどこまで念入りにやってもやりすぎることはないはずだ。日本国民が安心して暮らせるためにも、すべての建築物を民間の第三者が建築確認を行う日が来ても不満を言う国民はいないであろう。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

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