先週はサラリーマン諸氏の時間の使い方が変わってきたことに触れた。今日は女性の社会進出と今後の日本の労働力事情について書いていこう。
昨年の夏頃に当社に採用の面接の来た女性の質問を時々思い出す。当社が女性の働きやすい職場環境になっているか、また待遇について男女の区別があるのか、について聞かれた。筆者が社会人になって間もない頃に男女雇用機会均等法なるものが施行されて、大手企業はこぞって女性の総合職制度なるものを導入した。しかしながらその門は非常に狭く各社ともの一ケタの採用枠しかなかったことを思い出す人もいるのではなかろうか。そして4年制の大学を卒業した女性が難関の総合職試験に挑むのだが、結果は縁故や偏差値の高い大学の女性ばかりが採用されていた。採用の機会は不均等ながら形式的には男性と同待遇の雇用の扉は開かれ一応かたちはできた。ところが新聞でも取り上げられているように、すでに法整備がなされて20年近くが過ぎようとしているものの会社の中ではまったく機能していないのが実情のようだ。
いわゆるキャリアを目指す女性がいる職場においては依然として男女の待遇、昇進、機会の格差は存在していると考えられるが、少し視点を変えて社会を見てみると女性の社会進出は目覚しいものを感じざるをえない。女性の中には男性が活躍している組織(職場)において、男性と同じ仕事をすることが機会均等と考える人がいるかもしれない。しかしながら、女性がトップをしている上場企業よく観察してみると、その企業のビジネスモデルは女性の視点を持って事業推進したからこそ成功したといえるものが存在しているのも事実である。
私はそこまでの出世は望んでいない。ただ単に男性に負けるのは嫌なだけ、とおっしゃる女性諸氏も多いだろう。でも、良く考えてください。少子高齢化の流れはすでに始まっており、日本の人口は減少に転じるばかりか、2007年からはいわゆる団塊の世代のサラリーマンが定年退職を迎えるのである。日本の大手企業は高齢のホワイトカラーを多く抱えて、生産性が上がらないと言われてきたが、2010年を過ぎると一転して人手不足に陥る可能性がでてくるのである。
大手企業はここ数年間リストラにリストラを重ねてきたお陰で、新卒の採用も手控えており、新卒諸氏にとってはかなりフォローウィンドになってきたことは事実である。団塊の世代の退職を睨んで、採用も活発化してくるものと予測される。少し数字で説明すると、現在54才〜57才の男性は約450万人強、それにひきかえ大学生の年頃の男性は300万人弱である。その後も毎年20万人近いギャップが生じる人口構造になっている。今後このギャップをどのように埋めていくのかが大きな課題となってきている。
今日のコラムは女性の社会進出の話題から入ったが、確実に日本の労働人口は減少しており、移民をそう簡単に受け入れる土壌の無い日本にとって、女性の労働力は必須の時代になってきたと言えよう。女性の方々が長年苦しんできた、仕事の機会不均等は早々なくならないかもしれないが、着実にそして確実に男性中心の社会は世の中から消え去ろうとしているといってもいいだろう。このようなトレンドはすでに社会現象として出始めており、国民生活の変化にまで及び始めている。次回はこの変化に関連するビジネスを見ていきたい。(次回に続く)
東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com |