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映画のタイトルじゃなくてITのスペシャリスト集団〜テクマトリックス(3762 JQ)由利社長に聞く〜
東京IPO編集長 西堀敬


テクマトリックス株式会社 代表取締役社長 由利 孝氏

今から5年前に「マトリックス」という 圧倒的な視覚効果と、息をもつかせぬハイテンポな展開で、世界の度肝を抜いたカリスマムービーがあった。その後続編もヒット作だったために記憶にあるかたが多いだろう。今日のインタビューに登場していただくのは、2月18日にジャスダックに上場したテクマトリックスの由利社長である。

当社は総合商社ニチメンの100%子会社としてニチメンデータシステムという名称で1984年に設立された。2000年7月にすべての株式がITX社に譲渡された直後に現在の名称に変更された。社名の由来は、テクノロジー+マトリックスで、IT技術とそれを適応するビジネスドメインのマトリクスという意味らしい。それに加えて2000年に社名変更する時期に映画「マトリックス」がヒットしていたこともあったそうだ。総合商社の子会社で上場している企業は親会社の名前が冠についているケースが多いが、当社はITXの子会社になったお陰で冠をつけない社名となっていることが大きなメリットであると筆者は考える。

創業当時のビジネスモデルは海外のIT技術(ソフト)の販売代理権を取得して日本で販売していくという商社的なビジネスそのものであった。同様のビジネスモデルで上場している総合商社の子会社もいくつか存在するが、当社の大きな転機となったのは、1995年に米国のシリコンバレーにあるベンチャー企業に出資を行い、日本における総販売代理権を取得してからである。

1995年といえば日本でもインターネットや電子メールが個人ベースでも使い始められた頃である。それまではデジタルデータといえば、「文字」や「数字」が中心であったが、インターネットの登場でデータの領域が「画像」「動画」「その他の情報」へと広がりを見せてきた。その後、日本ナンバーワンのショッピングモール「楽天市場」の登場で、いままでないデータベースの構築ニーズが出現し、縁あって当社が楽天市場のデータベース構築をすることになった。1990年に始めた企業向けのシステム開発業務が花咲いて楽天に認められ、楽天が2000年4月に上場した翌年の2001年2月に15億円の出資を受けて現在第2位の大株主となっている。

ここまで会社の沿革に当社のビジネスモデル二つを織り交ぜて紹介してきたが、ここまでのところだけだと他の商社系のIT関連事業を営む子会社にほぼ近い事業内容である。当社が今後成長していくには、当社でいうところの@プロダクト・インテグレーション事業:米国等の最先端ソフトウェアとハードウェアを組み合わせて最適ソリューションを提供、Aカスタムメイド・ソリューション事業:楽天株式会社等の顧客企業向けシステム開発業務やWEB系技術を活用したシステム受託を行う、のような労働集約的で利益率が一定の事業だけではなく、自らがアプリケーションを開発して横展開することによりワンソース・マルチユースによるビジネスのレバレッジが効く事業が必要である。

そのような背景から生まれてきたのが、第三の柱であるパッケージ・ソリューション事業である。この事業は、自社開発した医療機関向けの医用画像一元管理システムや企業向けCRMソルーションシステムの業務パッケージの販売である。いずれも自社開発製品であるだけに開発に投じた資金を回収すれば、その後は乗数的に粗利が増えていくことになる。つまり当社のバリュードライバーはこの事業次第であると言ってもいいだろう。

最後に当社の目指す経営の目標であるが、定性的には「IT+1(One)」:ITのプロフェッショナルでありながら、同時に顧客の属する業界・業務の問題解決者であること、と行動指針に謳われている。定量化された目標としては、2年後に売上100億円、経常利益率10%を全社の共有で掲げている。数字に関しては、越えるべきハードルは決して低くないと由利社長は言うが、常に高い目標を掲げ、その目標を必ず達成する、という行動指針もある。

当社はIT技術者が興した会社ではなく元々が「儲けてなんぼ」の商社の魂が全社員に染み込んでいるような社風のように感じられた。

オーナーでもない由利社長であるが、会社設立直後に当社に出向し、大株主の変更、社名の変更等、会社のすべての歴史に携わってきたわけで、この会社が終の棲家であることを言明してくれた。創業者オーナーではない由利社長の株式の持分は潜在株式も入れて5%ながら、筆者が面談して感じた由利社長の会社と事業に対する執着心の強さはまぎれもない創業者社長そのものであった。

テクマトリックスHP:http://www.techmatrix.co.jp/

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