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新規公開株式情報の東京IPO
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新しい二極化相場を先導する個人投資家
クレイ フィンレイ プリンシパル 山本 潤
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決算発表がそろい、今期予想の収益をベースにして、PERが十分に低いものが物色されています。
PERは、投資家に、もっとも人気がある指標です。
決算シーズンが終わり、大幅な増益予想を打ち出した企業が物色されました。

一方で、PERが数百倍の銘柄もデイトレーダーの物色の矛先が向かっています。
短期的に鞘取りを狙う彼らにとっては、値動きが激しい銘柄ほど、収益チャンスが大きいのです。
そこで、出来高と値動きだけを狙って、トレーディングに徹するという層が存在しています。
昨今の割安手数料では、ベストビットで買いと指し、ベストオフォーで売りを指しても、
鞘がとれるようになったからでしょう。機関投資家が手がけないような割高株こそが彼らのターゲットになります。

株は需給で動きます。そこで、割高なものには、信用の売りが積み上がります。
信用売りも個人投資家が手軽に行えるようになってから、
恒常的に大きな残高を市場が抱えるようになりました。

PERで割高だからという理由で
信用売りが急増するようになったのは、とりもなおさず、低PER嗜好が強い層が参入してきたからでしょう。
いわば、即席バリュー投資家群の登場です。

また、相場はボックス圏が続いています。
ですから、株価が上昇すると信用の売りが積み上がる構図ができています。

即席バリュー投資家は、PERが高いものは売りで、安いものは買いであると結論づけます。
そこで、割高なものほど、信用売りが積みあがります。

また、長年のボックス相場に慣れた個人投資家は、買い下がり、売り上がりを基本としています。
なぜなら、株価が上がった銘柄は信用売り残が増加し、下がった銘柄は信用買い残が増える
明確な傾向があるからです。このボックス圏相場を支えるのは、
個人投資家の行動様式だけではありません。
新しい潮流があります。
それは、「上がったら売り、下がったら買う」というのが基本戦略のヘッジファンドです。
彼らの目覚しい勃興もあり、それが市場の値動きを小さくしているといわれています。

上がるから信用売りが溜まり、
割高だからという理由で信用売りが積まれる。
出来高も増えます。
上がるから売り買いが激しく交錯し、割高だから、売り手が現れます。

むしろ、トレーダーは割高なもので需給の読みが安易な信用買い残、売り残状況を見ながら、
ボラティリティを利用して、稼ごうというスタイルを確立しています。
トレーダーは、売りでも買いでも、一瞬のうちに、ポジションをひっくり返すことができます。
逆にいえば、ひっくり返すことのできる銘柄のみを選好するのです。

そういう意味で、低PERのものが物色される一方で、非常に割高なものが人気化し、
出来高が急増し、デイトレーダーの飯の種になっているという印象をもっています。

個人投資家が先導する「新しい二極化」という現象ではないかと感じています。
つまり、割高な出来高急増銘柄を手がけるトレーダー集団と
超割安の低PERしか買わないバリュー嗜好の強い個人投資家群の勃興というわけです。
そして、バリュー投資を卒業して、割高株をショートしようというアマニュア卒業組みが
トレーダーに流動性を供給しているという構図になっているのではないでしょうか。

現状は、市場平均PERが17倍です。15倍なら安く、20倍なら高いという感じです。
このように、株価が少し動くと割安から割高へと変化する銘柄は、それほど値動きは激しくありません。
割安なものは割安だということで割安のまま放置されたりするからです。

しかし、PERが2倍や3倍という銘柄は、それが4倍や6倍になったとしても、
誰もそれが「割高である」とは言い切れないところがあります。

また、元々PERが200倍の銘柄が、400倍になろうが、それを気にする人は少数です。

ところが、PER15倍の銘柄が18倍になれば、そろそろ上値が重いと感じるのです。

あまりにも、平均から乖離しているバリエーションは、それがどのように変化したとしても、
投資家にとって、そんなことは、「どうでもいいこと」になります。

ということで、極端な低PER株や極端な高PER株のパフォーマンスが恒常的によいという
新しい二極化が始まっているのです。

山本 潤
ゆっくり考え ゆったり投資
〜スロー・インベストメント〜

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