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新規公開株式情報の東京IPO
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カナリヤに夏休みは与えられない
  日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり)

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6月14日にジャスダックの予想PERが30倍代を回復してから、同じ水準を維持している。セカンダリーでのこの強さは、ニューマネーが新興市場へ活発に流入しているとしか考えられない。ニューマネーが買っている割に暴騰するほどの強さもなく、冷静な強さが続いている。

この水準は安定水準なのかも知れない。ジャスダックの益利回りを長期債利回りで割った倍率を見ると2004年1月以降、ほぼ横ばいの動きを示している。7月22日までの平均倍率は2.65、標準偏差は0.35でしかない。7月22日の倍率が2.64だから水準の変動は極めて小さい。

要因の一つは分母となっている長期金利の変動が小さいことだ。同じ期間の長期金利(10年債利回り)は平均で1.44。7月22日が1.23だったから足下は平均以下の水準で推移していることになる。これを埋める形で、ジャスダックの平均PERは30倍台と人気化して、益利回りを低下させているわけだ。

つまり、低金利だが小型株が人気化している格好。景気回復局面、つまり長期金利が上昇する兆しが見え始めた時に先行上昇する小型株のパターンとは異なる展開になっている。

こうした変則展開の背景として考えられるのがニューマネーの動きだ。

2004年1月4日には9兆4644億円だったジャスダックの時価総額は、7月22日段階で14兆591億円。48.9%も膨張した時価総額を演出したのはニューマネーだったといえる。指数の伸びよりも高い時価総額の膨張との差をニューマネーが担ったとすれば、その導入路を開いたのは新規公開銘柄だったと考えることができる。

新規公開が呼び水となって底上げされてきたジャスダックの各指数だけを見ると、先に指摘した通り長期金利との関係では極めて安定的な推移を見せており、変化を予兆させるような変化を見出すことができない状態にある。当面は、なおもIPO人気は持続すると言える。

その「当面」の長さを判断するシグナルは長期金利の変動だろう。この数字が最も景気や政局、為替を早く織り込むと考えられるからだ。金利のカナリヤを籠にIPOを物色する状態を8月も続けられる。
   
日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり

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