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アナリストの評価方法が変る
〜“お座敷芸者”から“真の分析者”へ〜
  株式会社ティー・アイ・ダヴリュ ジェネラルパートナー 藤根靖晃
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衆議院が解散し、連日選挙の話題が続いている。敢えて背水の陣で改革推進を掲げる小泉首相には勝ってもらいたいと思うが、一方で小泉首相の総裁任期が2006年9月末であることに不安を感じる。果たして、小泉首相退陣後の自民党に行財政改革を推進できる“変人”が居るのだろうか、と思うと単純に自民党に投票する気持ちにはなれない。

しかしながら、民主党も寄せ集め集団という色合いが強く、顔ぶれを見る限り“抵抗勢力”も存在しており、改革政党と言うには程遠い。日本の現状から鑑みれば執るべき政策の方向性に選択肢は限られており、何を掲げるかではなく、実行できるか否かが重要なのは明白である。小選挙区制による二大政党化により、自民党にしても民主党にしても選挙のための箱(プラットフォーム)に過ぎないのであれば、本当に改革を進める意思のある政治家が今一度党派を超えて再編・集結することが必要である。そのためには、自民or民主という単純な色分けによる投票行動ではなく、候補者一人一人が真の改革推進派であるのか抵抗勢力であるのかを見極めた投票行動が有権者に求められるのであろう。

2003年11月の総選挙の投票率は小選挙区59.86%、比例代表59.81%であった。自民、民主どちらが勝つかということよりも投票率に私は注目している。仮に自民党が負けたとしても投票率が大幅に上昇したのであれば、解散という選択肢を選んだ小泉首相は宰相の評価を受けるべきであろう。

さて現状、民主党の形成不利が伝えられているが、思い切って次のような公約を掲げてみたらどうだろうか!(非現実的と笑われるかもしれないが・・・)

「民主党が政権をとった暁には、小泉純一郎元総理を郵政改革特命大臣に任命いたします。」

前置きが長くなってしまったが、証券アナリストの評価方法に関して新たな方向性が出てきたことを報告したい。

7月21日の日経金融新聞において米スターマイン社によるアナリストランキングが公表された。スターマインについては以前このコラムで紹介したこともあるが、アナリストが推奨した銘柄の投資収益率による「銘柄選定アウォード」、業績予想の正確性を評価する「収益予想アウォード」の二つからなる。いずれも独自の基準によるデータ処理のみによって選出したものであり、人為的な影響を完全に排す形で行われている。面白いのは「人気投票によるランキング」とは殆ど全く違う結果が出ていることである。人気ランキングでは上位に並ぶ外資系証券のアナリストはあまり登場せずに、準大手も含めた国内証券のアナリストが多く選出されている。パフォーマンス並びに予想の正確性は、必ずしも人気とは一致しないと言うのが証明された形ではあるが、機関投資家はもとより当事者である証券会社からも違和感があるせいかあまり好意的には受け止められていない模様である。

しかしながら、自ら人気ランキングを主催する日経金融新聞が他の尺度を敢えて提示した背景を考える必要があるのではないだろうか!証券アナリストの存在意義が今ほど危ぶまれている時代は無いのではないだろうか!証券アナリストの果たすべき役割はなんであるのかを今一度考えるべきではないだろうか!

証券アナリストを評価する尺度は、これまで大きく二つしかなかった。まずは、仕事量である。どれだけ、企業訪問を沢山して、どれだけ多くのレポートを作成したかである。二つ目には、営業部門や顧客の評判である。営業部門においては、直接的にどれだけ手数料に貢献したかであり、顧客においては象徴的なものが人気ランキングである。人気ランキングが評価基準として幅を利かせるとアナリストの仕事は知識労働からコンシェルジュ(又はサーベント)に変ってしまうことはこれまでに何度も説明してきたところだ。

安易なサービス競争は、アナリストの存在意義を薄めてゆく負のスパイラルを加速するだけであり、“お座敷芸者”とは違った評価軸が必要になっているのは言うまでもない。既に最大手の某国内証券では、スターマインの評価を自社のアナリストの評価軸に取り入れた模様である。まだ、機関投資家でスターマインによる評価を重視しているという話は聞かないが、業界全体でアナリストを“お座敷芸者”から“分析者”に転換させてゆくための努力が必要であり、そのためにはスターマインに限らず、アナリストの評価手法の開発とその公表が重要である。

投資家が皆、人気ランキングよりもこうした分析者としての評価に注目するようにならばアナリストの仕事はより建設的なものに変り、その結果、資本市場の発展と日本経済の再生に向けて大きく前進することが期待できるのではないだろうか。

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