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クリック&モルタルでバイクの流通革命
〜アークコア(3384名証セ / 9月15日上場)正渡社長に聞く〜
東京IPO編集長 西堀敬


株式会社アークコア 代表取締役社長 正渡康弘 氏

今年から高速道路で二輪車の二人乗りが認められたそうだが、高速を自動車で運転中に二人乗りの二輪車にはまだ出くわしたことはない。道路交通法が二輪車のことまで考慮してルール変更を行った背景には二輪車ブームの再来があるのかもしれない。

天気の良い日に都内をビッグスクーターで風を切って走っているカップルの二人乗りを最近良く見かけるようになった。高速道路は相変わらずスピードを求めて走っているライダー諸氏が多いようだが、オールドスタイルで年代モノのバイクを仲間で走らせている年配のライダーにもお目にかかることが多くなってきた。

今日は9月15日に名証セントレックス市場に上場したアークコアの正渡社長にお話をお伺いした。

アークコアは、中古バイクを買い取り、オークション会社を通じて売却する事業を展開している。

正渡社長とバイクとのかかわりは、16歳でバイクの免許を取得したことから始まる。1980年代はある意味でのバイクブームでホンダのCBRのようなレーサータイプのバイクが流行っており、バイクに乗って颯爽と走る姿にあこがれたそうだ。

バイクの流通ビジネスを始めたのは、実家が飲食業を営んでおり、家業を手伝ううちに接客業が自分には向いていると感じ、起業したいと考えていたことに加えて、当時、友人であり、バイクの買取会社で働いていた当社の取締役の金森氏に誘われたことがきっかけとなった。

1992年7月に金森氏とオートセンター城南を設立しバイク買取事業を始める。後にITによるバイク業界活性化を目的とするデジバイク社からM&Aの誘いを受けデジバイクグループに参加し、モトバイキングと社名を変更するが、方針の違いを感じ、2002年にはデジバイク社に事業を譲渡し、モトバイキング事業から完全に身を引く。

直後の2002年5月に当社の原形となるバイクゲート社を設立する。その翌月には、「バイク買取ドットコム(http://www.bike-kaitori.com/)」を開設し、インターネットを使ったマーケティングを始めた。

では、ここから当社のビジネスモデルの特徴について説明して行こう。

まず、中古バイクの仕入れの部分であるが、

(1)まずバイクの保有者は、ネット上で「バイク買取」や「バイク査定」、「中古バイク」等様々なキーワードで検索  

(2)SEM施策(SEO対策やPPC広告)により当社サイトにナビゲート

(3)オンライン査定に誘導 

(4)ワン・トゥ・ワンマーケティングにより、出張査定依頼への誘導

(5)出張査定し、90%の確立でバイクを現金にて買取り

という流れで仕入れを行っている。

次に販売のほうであるが、

(1)買い取ったバイクは、車で自社倉庫に運び、その大半を練馬デポに集約。
各車両について、利益を最大化するための判断に基づいた作業(洗車〜整備)を施す。

(2)現車オークションを中心としたB2Bオークション会場に出展

(3)平均で2週間程度で売却

という流れとなっている。

ここで当社のビジネスモデルを支えているポイントを整理すると、

(1)仕入れにおいては物理的な店舗を最小限に抑え、「モトソニック」ブランドに統一されたバイク買取サイトを最大の集客店舗と考え、ウェブマーケティングに注力。

(2)買取価格はオークション会社の最新相場データを入手し、買取査定においてミスプライスが起こらない仕組みを構築

(3)買取から販売までの期間が2週間程度と在庫リスクの低減が計れる上に、キャシュフロー向上にも役立つ仕組みを構築

(4)取扱車種の中心は126cc〜400ccの中型クラスが多く、1台の買取単価は15万円弱程度で、粗利率は約40%程度となっている。

となる。 

物理的な店舗を最小限に押えながら、インターネットで価格査定を行うが故に買取成約率が高く粗利率の変動も少ない、また、資金固定期間が2週間という流通業においては最適化された仕組みとなっている。

さて、続いて、バイクの流通市場であるが、日本全国で登録されているバイクの台数は1300万台、新車の販売台数は70万台となっている。一方、中古市場では新車販売台数の約2倍の140万台が1年間に取引されている。

このような中古バイク市場において、当社は昨年度9,015台を販売し19.8億円の売上を計上した。バイクにもいろんな種類があるが、当社が得意とする125cc以上のバイクの登録台数は約312万台で、その1割超が1年間に流通すると考えると当社のシェアは約3%となる。

正渡社長の中期的な経営の目標は年商100億円だそうだ。単純計算すると市場シェアの約15%を当社が占めることができれば目標達成できることになろう。

また、株主の皆さんへの還元としては、タイミングを見計らって流動性を高める対策を講じるとともに当面の利益は内部留保し株主価値の向上でもって報いたい考えのようだ。

(編集長コメント)

マーケティング費用が限定的な当社のモデルは売上が上がれば利益はレバレッジが利いてくる仕組みになっているはずである。営業年数が短いので、レバレッジの利き方については計りきれない部分もあるが、今期の決算数値を見ればプロフィットモデルについても確固たるものが見えてくるのではないだろうか。

アークコアホームページ http://www.arkcore.co.jp/

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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