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新規公開株式情報の東京IPO
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IPO株式の入札方式導入を実現せよ!
  株式会社ティー・アイ・ダヴリュ ジェネラルパートナー 藤根靖晃
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マネックス・ビーンズ・ホールディングがダッチ・オークションによる価格決定方式導入を目指して、新会社を立ち上げた。

IPO株式の公募価格決定に入札方式を用いる方がフェアであり、合理的であることを、このコラムでも過去に2度ほど主張したことがあるが、それが現実味を帯びてきたことを喜ばしく思う。

現在のブックビルディング方式は1997年に導入されたが、それまで用いられてきた一般競争入札方式では公募価額が高めに設定されその結果として公開後の株価が低迷するということが理由であった。しかし、本当に入札方式は株価のオーバーバリューにより、株価の長期低迷を引き起こすものであったのであろうか?

実証研究によれば、「入札方式の方がブックビルディング方式より公開後の株価パフォーマンスが劣るという証拠は、短期においても長期においてもえられなかった」(2002年6月:ファイナンス学会)。

それでは何故、ブックビルディング方式を証券業界は選択したのであろうか?結論から言ってしまえば、機関投資家を優遇するため、ということになろう。

入札方式においては、入札対象となる株式においても、また入札の対象とならなかった株式においても上限株数が設定され、個々の投資家が購入できる株数は限定的なものとなっている。そのために一定株数以上を投資しないとパフォーマンスにインパクトが生じない機関投資家にとっては全く魅力の無いものとなっていた。

一方、ブックビルディング方式はどうだろうか?ブックビルディング方式では100%幹事証券会社の裁量によって割当てることが出来る。しかも、ブックビルディング方式は、(それが作為的であるかどうかについて言及するつもりはないが)公募価額と公開初値との差である初期収益率は、入札方式に比べて高くなっている。前出の実証研究では平均15%高まっていると分析している。

つまり、ブックビルディング方式は機関投資家をはじめとした大口投資家が初期収益率の高いIPO公募株式を大量に購入できる仕組みであるのだ。

マネックス・ビーンズでは、まだまだ研究段階でありダッチ・オークション導入を決定したわけではないと述べている。しかし、IPO市場の透明性を高め、発行体にも投資家にも偏らないプライシングの方法を構築してゆこうという姿勢には評価が出来るだろう。

そのために解決しなければならない問題点をいくつか列挙したい。

(1)マネックス・ビーンズが提唱するダッチ・オークション方式は、高い価格を提示した入札者から順に発行予定株数に達するまで割当て、割当価額を割当再安値で入札した価額とするものである。この方式は一見、価額を抑える効果があるようにも見えるが、返って高値入札を招いてしまう危惧がある。

(2)過去の入札方式においては販売手数料が幹事以外の証券会社に配分されてしまい主幹事証券のメリットが大きく薄れてしまったことが挙げられることから、引受手数料と販売手数料の配分比率を見直す必要があるだろう。

(3)入札方式をとる以上は、投資家に対して十分な説明がなされる必要がある。ロードショーという形で発行企業がOne on oneで説明を行う機関投資家に対して、個人投資家に与えられる情報は目論見書に限定される。目論見書そのものはこの数年間で充実が図られてきたが、もっと分かりやすい説明が求められよう。

(4)前項とも重なるが、発行体が目論見書以外の情報を提供することは現商法では禁じられている。これを改正もしくは弾力運用することによって独立したリサーチ会社による情報を提供できる環境を整備する必要がある。社債発行時に求められている格付と同様に独立機関による企業評価なども必要ではないだろうか。

いずれにしても、透明・公正な市場確立のために入札方式への移行が求められる。いずれは必ず合理的でないものは駆逐され、在るべき形式(かたち)へと変ってゆく。個人投資家よ、声高に叫べ「オークション!」と。

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