皆様、鰊です。
この度、第一月曜日の枠で定期的に文章をお送りすることになりました。愛読者の方々のご声援のお陰かと思います。
ちなみに、文章を書かなければいけない日があること以外は従来と全く変わりはありません。毎度お粗末ですが、皆様何卒御指導御鞭撻の程、宜しくお願い致します。
なお、レギュラー化に伴い肩書きを変更することになりました。
「東京IPOアルバイト」から「某運用会社日本株トレーダー」となりますが、転職したわけではなく、より実態に近い形になっただけでござます。
さて、先週といえば「東京証券取引所のシステム障害」。
友人等からメールが届きましたが、「大変だったんじゃ?」か「暇やったやろー」反応が二つに分かれていておりました。
せっかく20年に一度あるかないかの珍しいケースなので、現場はどうだったのかリアルタイム形式でお送りしていこうと思います。
ちなみにNが鰊で、Jが上司です。時間軸は大体のイメージです。
7:45
J「Z外資系証券から東証とシステム繋がらないから朝一の注文は止めてくれっ
て」
N「へー、あのZ社にしては珍しいですね。」
J「まあ、そういう日もあるやろ。どっちにしろZ社には注文出す予定なかった
けど」
7:50
N「なんかY社が、全社的に東証と繋がらない状態にあるって言ってます。」
J「Z社だけじゃないの?まあ、9時には治るやろ。注文は用意しておけよ。」
8:15
J「これは9時には間に合わんなー。」
N「30分前には注文受け付けないと厳しいですもんね。」
8:30
N「東証発表があったらしいですよ。『復旧の目処立たず』。」
J「なにっ!!」
N「どうしましょうか?ToSTNetは動くらしいです。あと大証もありますが。名
古屋も。福岡と札幌は無理です。」
J「んー、流動性がないと厳しいな。どうしても約定したいとファンドマネー
ジャーから連絡ない限りは待機で。立会外も値段決めにくいしな。」
8:55
N「シンガポール上がってますねー。(※シンガポールで取引されている日経
225先物のこと)」
J「CMEがあれじゃ仕方ない。現物は売買できないのにな。」
N「このままじゃ大証の日経225先物も高寄りですね・・。」
9:05
N「大証の銀行株はいまいち盛り上がってませんね。短期筋が流れ込むと思っ
てたのに。」
J「まだ、様子見やろな。」
N「しかし、裁定業者には堪らないですね。利食いや手仕舞いもできやしない
。」
9:30
N「テロとか噂が流れています。」
J「先物の売玉を持ってる会社が流しているんじゃないの?テロにしては地味
だよな。」
N「システム障害が起きる度に流れる噂ですしね。」
と、午前中はこんな感じです。あとは東証が「システムはハード・ソフトも富士通製」を発表して盛り上がったり、バックオフィスと連絡を取り合って、緊急を要するキャッシュポジション作りの段取りを決めておりました。
全く緊張感がない会話が繰り広げられておりますが、実際慌てても仕方ないし、まあ待つかというのが午前の雰囲気でした。システムを組んでいると、東証と大証を分けて使うためには色々面倒なので、トラブルを未然に防ぐためというのもありましたし。
しかし、東証が「12時40分注文受付開始、13時20分取引開始」と発表してからは一気にヒートアップ。ここからはNが鰊、Yが証券会社でお送りします。
12:40
Y「鰊さん、寄りはどうします?いつもより多目で行きますか?」
N「いや、寄りで高値つけて一度落ちてくるでしょうし、ゆっくりで」
12:45
Y「東証のシステムが重いですよー。注文の訂正・取消に5分以上かかってます
。」
N「ってことは板情報も?」
Y「厳しいですね。注文は早めにいただいたほうが無難です。」
13:00頃
N「取引開始が13時30分に伸びたらしいですね。」
Y「いや、そんな話は来てませんよ。」
N「情報錯綜してるんですかね。ちょっと確認お願いします。」
Y「(え、なに?了解。)鰊さん、やっぱり取引開始は13時30分に延期だそう
です。」
N「不安ですね。もう今日は東証お休みでいいじゃないですか・・。」
これ以後、取引が始まってしまえばいつも通りでした。
ちなみに新聞各紙では「東証大失態」「国際的に信用喪失」とか書かれてましたが、外国株のトレーダー曰く、「外国の市場は、清算額が1円位ずれてて当たり前だし、台風で取引所が閉まることもザラなのであんなシステム障害でとやかく言う外国人はいない」と断言してましたが、実際翌日は何事もなく、というか懸念の声すら上がりませんでしたね。
いやいや、貴重な体験ができました。願わくはこれが常態かしないことを・・。
某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん) |