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企業の中途採用積極化は、「人材育成」の空洞化を齎す!?
  株式会社ティー・アイ・ダヴリュ ジェネラルパートナー 藤根靖晃
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先日、或る企業の決算説明会に出席するために都内の某ホテルに行ったときのことである。会場の場所が良く分からなかったので、コンシェルジュ(ベルボーイ)の若い男性に「○○会社のミーティングがあるはずですが?」と問うと、「それでしたらスクール形式です」という答えが返ってきた。一瞬、狐につままれたような気になったが、「場所を聞いているのです」と言い直すと、「3階です」と漸く正解が返ってきた。“スクール形式”というのは“凹型”、“口型”などと同様に会場のテーブルの配置を表している。若いコンシャルジュは、恐らく何も考えずにただ予定表の最初の項目を読み上げたのであろう。超一流とは言わないが、比較的有名なホテルであっただけにかなりの驚きであった。

フランスで若者の暴動が続いている。移民が少ない日本には無縁のことと思っている方もいらっしゃるかもしれないが、今後の税制改正や年金改革の有り様によっては対岸の火事ではなくなる可能性もある。

先週、企業の社外取締役や企業経営者のOB等が集まった私的な勉強会において、CSRとは何か?という議論を行った。その際に多くの方から指摘されたポイントが「人材育成」であった。経営のスピードが求められ、また人件費の変動費化が進みつつある現状において、他方で人材の流動化が著しく進みつつある中で、多くの企業が社内に於ける人材育成ではなく、外部からの中途採用という人材調達に軸足を移しつつある。

大企業と中堅企業の成長力の差は、そうした人材獲得における力の差として業績に表れつつある。人材をかき集める大企業と、人材の草刈場になりつつある中堅企業。特に労働集約的な面の或る金融サービス関連でこの傾向が顕著になりつつあるようだ。

こうした状況が続けば、中堅企業では人を育てられなくなってしまう。即戦力となる人材の引き抜き合戦に明け暮れ、誰もが人材育成を行わなくなってしまえば、日本もまた、フランスの轍を踏むこととなるのであろう。

CSRの概念全てに賛成をするわけではないが、「人材育成」を行わない企業は社会的に問題があるのではないだろうか?大企業であるならば、中途採用と同数以上の新卒採用が求められるのではないだろうか?こうした点を機関投資家はもっと問題視すべきではないだろうか?

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