昨日の有馬記念は15時25分に発走となった。
年賀状を印刷していた私も思わずテレビに食い入ってしまった。
武豊騎手が乗るディープインパクトは皐月賞、日本ダービー、菊花賞を制した3冠馬で単勝人気は1.3倍であった。
レース展開をあらためて解説するまでもないが、後方からレースを進め、3コーナーから追い上げて最後の直線で鋭く追い込むスタイルは菊花賞のときと何も変わらなかった。
結果は半馬身及ばず2着でゴールとなり、ディープインパクトは8戦目で初黒星となった。
直線コースに入ってごぼう抜きで後方から先頭に踊り出る瞬間を見たさに中山競馬場に来場した16万人の競馬ファンはさぞかしがっかりしたことだろう。
武豊は「今日は飛ばなかった」とコメントしている。
勝利したハーツクライを取り上げなくて申し訳ないが、武豊は「いつもなら勝てたはず」とレース後に強く思ったはずである。
今回の有馬記念はディープインパクトが初めて年上の古馬と戦うレースであった。
皐月賞、日本ダービー、菊花賞はいずれも3歳馬のみが出場するレース。
今回は三歳馬はディープインパクトのみ。
勝利したハーツクレイは4歳馬。
武騎手は戦う相手が今年の3勝したレースとは違うことを念頭に置いていたに違いない。
では、馬券を買った競馬ファンはどうだろうか?
きっと何馬身も引き離してゴールするディープインパクトの姿が瞼に焼き付いていて戦う相手のことなど何も考えていない人がほとんどではないだろうか。
今年のような上昇相場の中において、「勝てるはずの勝負だったが・・・」「おもったほど勝てなかった」方が多いのではないだろうか。
過去の経験値で相場を張っている人は負けてしまう。
そんな相場が今年の特徴だ。
1989年に天井をつけてその後の下げ相場の中で株式投資をしてきた人達が大きく勝てなくなったのは、それまで市場で戦ってきた市場参加者以上に影響力を持つ投資家が台頭してきたことを念頭におかなかったからではないだろうか。
今年の相場も外国人投資家と日本の個人投資家が牽引したことは2003年同様に変わらない。
ところが投資家の中身が大きく変化しているようだ。
外国人でも昨年までは欧米のヘッジファンドが主役であった。
どちらかと言えば、逃げ足の早い資金である。
今年に入ってからは、欧州では中東のオイルマネーや自由主義経済が浸透してきたロシアマネーも日本株に向かい始めているそうだ。特にオイルマネーと言えば、サウジの王子様がソニーを買ったという話が市場に流れて、先週の木曜日は230円高となった。
一方の米国では、個人投資家が日本株ファンドに食指を動かし始めており、NVA以上に買われているファンドも出てきている。
最後に日本であるが、銀行の窓口販売でバランス型投資信託(債券と株式に投資するファンド)の売れ行きがいいらしい。 ファンドの中身は、債券(外債が多い)8割、株式2割くらいの構成のようだが、リスクが低い投資信託のつもりで買っている投資家が多いようだ。
このようなファンドの株式部分の運用はインデックス連動型となるため、日経平均株価やTOPIXを押し上げる効果があるようだ。
証券会社に口座を持たない個人の資金が間接的に株式市場に流入しているのである。
有馬記念の売り上げは499億927万6600円。
馬券を買った多くの方々がディープインパクトを中心に買われたはずである。
枠連、馬連などはディープインパクトが2着となったので救われた方も多いと思われるが、思っていたほど儲からなかったレースであることは確かである。
株式投資においても、参加者が変わることによって、過去の勝利の方程式が崩れることがある。
相場の格言で「もうはまだなり、まだはもうなり」というが、たとえ過熱感を示すシグナルがでたとしても市場に参戦している投資家層は「もうはまだなり」と考える人種ではなさそうだ。
東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com
|