皆様、鰊でございます。
株式市場はやや波乱の幕開けとなりましたが、無難に乗り切れましたでしょうか?直近IPO銘柄を扱っていた方は、しんどい思いをなさった方もいるかもしれません。
私も、「4日間の年末年始なんて休んだ気にならん」と言っておきながら、正月ボケになっていたのか、相場についていけないこともしばしば・・。
その中で目についたのが、不動産関連銘柄の崩れっぷり。
ご存知の方も多いとは思いますが、
原因は、年末に流れた「日銀、金融機関の不動産関連融資の監視を強化」のニュース。
地価高騰を恐れて、早めにカネの出所を押さえてしまえということです。
新興市場の不動産関連銘柄は年末から調整気味だっただけに25日線近辺で押し目が入った銘柄も少なくなかったのですが、東証1部の銘柄は年始から3日続落が目につきました。
さて、このようにセクター全体の中長期的な下落トレンドに繋がるニュースが出ると、運用会社にとっては非常に悩ましい展開になります。
というのも、東証一部銘柄は空売り可能な銘柄が多いので、下落トレンドに合わせて空売りが出てくる出てくる。
勿論、どこにも「空売り」と表示されるわけではありませんが、アップティックルール(下記※1)を考慮すると、株価を下げようとする意思が見え隠れする注文が出てくるわけです。
具体的には、空売りできる値段にどーんと分厚い売り注文を出して、買い方の上の値段を取ろうとする気を失くさせ、実需の売りが下に売り込まざるをえない状況にしてしまうわけです。
買い板が5、6単位しかないのに、売りが100単位もあれば、買い方は待つし、実需の売りは焦るのは当然です。
これが他人毎なら、「あーあー可哀想に」で済みますが、自分の注文となるともう大変です。
早めに終わるか、立会外取引を使うか、最後に反発してきたところを狙うか。
空売りの連中はその日の内に手仕舞うことも多いので、下手に売り切ってしまうとそれこそセリングクライマックスを自作自演してしまうことになります。
逆に、売り方が踏まされて急騰することもありますし、なかなか一筋縄ではいきません。
不動産関連は空売りでほどよく崩せる流動性の銘柄が多く、年中苦しめられます。
ドコモくらい大きければ、さほど気にならないのですが。
「空売りを仕掛けられたので負けました」とは口が裂けても言えませんし・・・。
※1 アップティックルールというのは、「空売りの場合は、現値よりも下の値段では売ってはならない」という原則です。例外もありますが、要は空売りでは株価を下げることができないということです。
某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん) |