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編集長のジャストフィーリング 〜想定外のことばかりだが・・・〜

東京IPO編集長 西堀敬

 

ライブドアの証券取引法違反の容疑が発端になった今回の株価急落で各種の問題提起が起こってきている。

まず、東京証券取引所の「売買取引の全面停止」であるが、14時25分現在で注文が700万件、約定が400万件に達し、システム処理能力が上限に達したらしい。

1月10日の東証のリリースでは、本日から「1日あたり900万件までの注文受付が可能となりました」とアナウンスしている。

確かに15時までの残りの35分で成り行きの注文が出て900万件に達する可能性もありうるがまだ200万株を残している。投資家には900万株対応システムの意味が不可解である。

次に、昨日のブログでも書いたが、マネックス証券が昨日の正午過ぎにアナウンスした「ライブドア株式等の代用有価証券の掛目の引き下げ」は投資家にとっては寝耳に水だったに違いない。

ブログに書いた後に、よくよく考えてみると、市場で価格が付いているにも係わらずその価値が無いと一証券会社が決めていいものだろうか?という疑問が起こるのではないだろうか。

ストップ安などで実際は公正な価格の形成が行われていないとの判断からの措置と思われる。しかしながら、他の証券会社なら担保価値があるものが、特定の証券会社では価値がないと言われても、それには納得がいかない投資家が多いのではないだろうか。

それにもまして、このような代用証券の掛け目を「0」にすることが、市場の価格形成にどれだけ大きく影響するのかをマネックス証券が深く考えたのかどうかも疑いたくなる。

できるならば、マネックス証券はこの措置をTDネットで開示して欲しかった。
自社のお客様だけが先行して知りうることは情報の公平感を欠くと考えるのは私だけだろうか。

ライブドアの堀江社長も今回の件だけは想定外と答えているが、想定内であったかもしれない真実は時間をかけて明らかにされることだろう。

いくつもの想定外の出来事が起こっているが想定内の動きもある。

12月IPOの銘柄のストップ安での引けである。

これらの銘柄群の調整は、新年のIPO銘柄へのスイッチングで起こると想定していたが、ライブドアショックにより少し早めに到来したようだ。

想定外の株価がついていた12月IPO銘柄が想定内の範囲の株価に収斂していくには、まだしばらくの調整が必要であると考えられる。

最後に、想定外のことが起こるとしたら、新興企業に対する投資家の評価が大きく変化することだ。

日本経済の現況を鑑みれば、大型株は一時的な下げに留まり急回復することが想定されるが、新興企業群の中でIT・ネット関連株式は下げ止まったとしても回復は厳しい状況になるやもしれない。

個人投資家も含めて、投資家は自らが株価を買い上げることによって、ネット関連企業を始めとする新興企業に大きなパワーを与えすぎたことに気がつくのではないだろうか。

ヒルズ族などで呼ばれるIT関連企業に絶大なるパワーを持たせたのは、株式市場の活況の中での高成長を梃子にした株価の上昇そのものであったはずだ。

政治は構造改革を錦の御旗にして戦後体制への決別を行おうとしているが、日本経済を引っ張っているのは、いまだに自動車、鉄鋼、商社などのオールドエコノミーそのものではないか。

株式市場が真にパワーを与えなければならない上場企業は新興のネット関連企業ではなくて、日本のGDPに貢献している企業群ではないだろうか。

見方を変えれば、たとえライブドアが2度目の破綻(ライブドアは一度破綻した後に旧エッジが買収し、エッジが名称を変更)となっても日本経済は揺らがないが、同じ時価総額のオールドエコノミー企業が外国企業に買収されるなんてことになるとその影響度は計り知れないものがあると考える。

想定外の出来事に一喜一憂しているばかりではなく、それを演じているのは投資家の皆さんのそのものであることをよく理解しておくべきである。

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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