行動の保守、真似の先進。そんな、様子見と横睨みを得意とする日本人の気をそそる商品が米国に登場してきた。IPO指数連動型投信だ。
アメリカン証券取引所が4月13日に上場させたものだ。狙いは、人気商品の開発による市場活性化に尽きる。IPO銘柄のおいしさをより多くの人と分かち合う、という名目で客集めを期待しているのだろう。
アメックスが上場日に公表した発表文書によれば、ファーストトラストIPOX−100インデックスファンド(FPX)と、長い名前がついたこのファンドは、1銘柄の保有比率が10%を超えないようにしている。
商品設計の中身はともかく、IPO銘柄への投資へ個人を引きずり込み、商売を活性化させようとする着想は立派なものだ。異常なまでの開発意欲といえる。
わが国では、投資対象の質を全く考慮せずに、IPO銘柄の公募株を抽選で当てるにはどうするか、といった議論が投資雑誌やネットで展開されることが多い。その意味で、IPO連動型の投資商品はわが国でも魅力がありそうな商品に思える。
ただ、このアメックス対象のETFは公開後7日の銘柄が組み入れられる。わが国では、3日目に初値がついても7日目には暴落しているIPO銘柄も珍しくはない。そんな環境下で、同様な商品開発をするのは困難だろう。新しいもので、海外にあるものを輸入するのが得意な日本でも、同スキームでの商品は登場してきそうにない。
FPXの初値は20.10ドルで、公募価格を6セント上回った。1週間後の19日終値は20.42ドル。日本のIPO感覚で言えば、本当にこれはIPO銘柄と連動しているのか?と疑いを抱く人も少なくないだろう。日本の実感ではIPOといえば上昇するものだし、上昇するというのは数%の話ではなく数割だと思っているスペキュレーターが殆どだろうからだ。
しかし、世界の常識からすれば異常なのはどちらなのか、という疑問が沸き起こる。それでもリスク吸収力を日本の投資家は持っているようだが。
日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり)
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